Oracleでは、こうした企業の新たなチャレンジに対応すべく、e-コマースやカスタマーサービス、ソーシャル分析の各分野で積極的な買収を進め、Customer Experienceソリューションの拡充に努めてきた。
「われわれはクロスチャネルに対応したe-コマースのArt Technology Groupをはじめ、各領域でトップの企業を傘下に収めてきた。昨年度だけでもこの分野を中心に60億ドルを買収のために投資している」とハード氏は話す。
買収発表 | 企業名 | 製品分野 |
---|---|---|
2010.11 | Art Technology Group | e-コマースプラットフォーム |
2011.6 | FatWire Software | Webエクスペリエンス管理 |
2011.7 | InQuira | ナレッジマネジメントベースCRM |
2011.10 | RightNow | クラウドカスタマーサービス |
2011.10 | Endeca | ソーシャルアナリティクス |
2012.5 | Vitrue | クラウドソーシャルマーケティング |
2012.6 | Collective Intellect | ソーシャルアナリティクス |
2012.7 | Involver | ソーシャルアプリ開発プラットフォーム |
「企業は商品のコモディティ化とグローバルな競争に晒され、もはやこれまでと同じアプローチは通用しなくなった。しかも、ソーシャルメディアの浸透で顧客が優位に立っている。同じ顧客なのに企業側の組織、プロセス、データが分断されたままでは見放されてしまう」と話すのは、Oracleでクラウドアプリケーション戦略を担当するアンソニー・ライ上級副社長だ。
ライ氏は、顧客が商品やサービスと関わるサイクル全体を下の図のように整理し、企業が優れた顧客体験を提供するためのフレームワークを構築している。
例えば、「レコメンドがニーズを生む」フェーズでは、ソーシャルリスニングやソーシャルエンゲージメントの機能が大いに役立つ。「比較検討と選択」のフェーズでは、パーソナライズ機能があり、クロスチャネルを統合できるe-コマースプラットフォームが必要だ。また、「利用と保守」では、今や50代から60代のベビーブーマーにも優しいクロスチャネル型のカスタマーサービスソリューションが欠かせない。既に触れたとおり、Oracleは顧客が商品やサービスと関わるサイクルの各プロセスにおいて企業が最良の顧客体験を提供できるよう製品や技術を整え、空いたピースを急ピッチで埋めてきている。それは「優れた顧客体験こそが、企業が成長していくための唯一の差別化要素」(ライ氏)だからだ。
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