「クラウドは、単に仮想サーバを必要な台数だけ用意するということではない。企業の情報システムには異なる種類のさまざまなワークロードがある。これらを最適なリソースで処理し、効率性を追求してこそクラウドの価値がある」と話すのは、IBMでミドルウェアを統括するロバート・ルブラン上級副社長だ。
「PureSystemsはハードウェアとソフトウェアの単なるバンドルではない。クラウド機能、管理機能、そしてミドルウェアを高い次元で組み合わせ、アプリケーションが効率良く稼働するように事前に構成している」とルブラン氏。
例えば、PureApplication Systemsでは、Webトランザクションシステムのベストプラクティスを「パターン」として用意する。そのパターンには、サーバ群のトポロジーや各サーバのパラメータ、ポリシーなどの情報が含まれる。そうした定義済みのパターンと仮想イメージを利用し、ハードウェアとソフトウェアを上手く組み合わせた、最適なアプリケーション環境を簡単かつ迅速に、しかも繰り返し構築できるのが特徴だ。
企業向けのアプリケーションでは欠かせない自動スケール、フェールオーバー、ロードバランス、セキュリティ、モニタリング、ライフサイクル管理などの機能も盛り込まれており、運用保守の負荷も軽減できるという。
この日、InterConnectカンファレンスで披露された第3のPureSystem、「PureData System」は文字通り、企業がトランザクションデータを高速で処理したり、膨大なデータから意味ある価値を引き出し、例えば顧客を深く理解し、適切な意思決定につなげるためのExpert Integrated Systemsだ。
PureData Systemは、3種類のワークロードに合わせ、以下の3モデルを用意する。
PureData System for Transactionsは、大規模なe-コマースサイトで求められるような膨大な数のリード/ライトをリアルタイムでこなすのに最適化されている。PureApplicaiton Systemでもデータベースアプリケーションを稼働できるが、このPureData SystemではDB2をベースとしたクラスタ構成のパターンが用意され、優れた信頼性、可用性、拡張性が求められるシステムに適している。データベースの配備を分単位で行い、100以上のデータベースを1つのシステムで管理できるほか、新しいラックを追加するだけでさらに拡張できるという。
PureData System for Analyticsは、顧客に関するより深い洞察を得るといった複雑な分析に適しており、Netezzaのテクノロジーが盛り込まれた「Netezzaの次世代版」。Netezzaの製品ラインはいずれこのPureData System for Analyticsに置き換えられていく予定だ。自動でパフォーマンスチューニングが行われ、通常のシステムの10倍から100倍の性能を叩き出し、現行のNetezzaに対しても20倍以上のスループットを実現するという。
InfoSphere Warehouseをベースとして最適化を図ったPureData System for Operational Analyticsは、クレジットカードの不正利用検知のようにリアルタイムの洞察によって業務上の意思決定を改善していくのに役立つ。ちょうどトランザクション向けとアナリティクス向けの中間に位置するモデルと考えればいい。1000以上の同時クエリを処理でき、また、リアルタイムのデータ圧縮機能によってストレージを最大で10分の1まで節約できるという。
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