シマンテック、モバイルアプリストア機能を企業向けにリリース

モバイル向けの業務アプリやコンテンツを配信する仕組みを、クラウドサービスとサーバ製品の2種類で提供する。

» 2012年10月16日 15時03分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 シマンテックは10月16日、企業向けのモバイルアプリケーション配信機能「Symantec App Center」を発表した。同機能のクラウドサービスと、モバイル端末管理やセキュリティ対策を含めたオンプレミスのサーバ用スイート製品(Symantec Mobile Management Suite)の2種類で提供する。

 Symantec App Centerは、ユーザー企業が自社開発したモバイルアプリや業務用のドキュメントファイルを、社員などが利用するスマートフォンやタブレット端末(iOS/Android/BlackBerryに対応)へ配信するもの。同社が開発した「Symantec App Wrapping」という技術で、個々のアプリやファイルに対してアクセス権限や利用制限、暗号化、時限消去などのセキュリティポリシーを適用できるのが特徴だという。

Symantec App Centerの概要

 ユーザー企業のIT管理者は、Symantec App Centerへのアプリやコンテンツの登録・配布・更新、ユーザー管理、デバイス管理、インストール状況の管理ができる。業務部門の社員などは自身の端末にSymantec App Centerのアプリをインストールするだけで良いといい、端末が私物であっても企業は業務に関わるアプリやコンテンツだけを管理できるとしている。

 クラウドサービスとスイート製品ではアプリストア機能のみの「Standard Edition」と、アプリストア機能にMDM(モバイル端末管理)を追加した「Enterprise Edition」の2つのラインアップを用意。クラウドサービスの利用価格はStandard Editionが1ユーザーあたり年間5300円、Enterprise Editionが同9600円。スイート製品は同1万500円となっている。

「アプリやデータの保護に特徴」と同社

 新機能の特徴というSymantec App Wrapping技術は、「アプリやコンテンツデータ全体を包み込むようなイメージで保護する」(プロダクトマーケティングマネジャーの金野隆氏)という。具体的には、外部アプリとの連携やコピー&ペースト、共有の可否、使用期限、遠隔操作によるロック/削除、暗号化、「ジェイルブレイク」やルート化の検知といった、多様なセキュリティ関連の設定でき、これに必要なアプリケーションをユーザー企業側で行う手間が無いことだとしている。

 金野氏によれば、従来のアプリ保護はユーザー企業の開発者が自前でサンドボックス機能などをアプリごとに実装しなければならないケースが多く、ポリシー変更などの場合にアプリを再構築する手間もあった。同社の技術ではSymantec App Centerの基盤上でポリシーの実装や変更などの処理が行われる。複数のアプリに対して一括で適用させることも可能だ。

Symantec App Wrappingのイメージ

 ただし、現状で新機能を利用できるのはユーザー企業が自社開発するアプリのみとなっている。サードパーティー製のモバイルアプリは、今後提供する予定の「App Center Ready Program」のパートナー製品を利用できる(ポリシー適用などはパートナーの方針に基づく)。

 米Symantec エンタープライズ・モビリティ・グループのジョン・クーン氏は、「当社の調査では社員が利用するモバイルアプリの3分の2がサードパーティー製、残りが企業のカスタムアプリだった。また、2014年末には1人の社員が平均で3台の端末を持ち歩くとみられ、今後はこうした環境変化への対応を積極的に進める」と新機能の開発方針を説明している。

 シマンテックの河村浩明社長は、今後の事業戦略で企業向けのモバイルセキュリティ製品の拡大を図ると表明し、2013年前半までにクラウド型認証基盤サービス「Symantec O3」とファイル共有サービス「Norton Zone」を提供することを明らかにした。

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