“ファイル送信後”の情報漏えい対策に注力するデジタルアーツ

Webフィルタリングを手がけるデジタルアーツが事業戦略を説明。法人向けを強化し、ファイル暗号化サービスやメールフィルタリングサービスなどに注力していくという。

» 2012年10月17日 19時45分 公開
[本宮学,ITmedia]

 Webフィルタリングソフトなどを手がけるデジタルアーツは10月17日、都内でカンファレンスを開き、今後の注力分野をパートナー企業向けに説明した。法人向け事業を強化し、ファイルにIRM(Information Rights Management)機能を付与するサービス「FinalCode」などに力を入れていくという。

photo 道具登志夫社長

 FinalCodeは、社外に送信したファイルの使われ方などを送信者側がコントロールできるIRMサービス。WordやExcelをはじめとする各種ファイルフォーマットに対応し、送付したファイルの第三者への転送を禁止したり、閲覧期限を設定したりでき、ユーザーが誤ってファイルを送信してしまった後でも情報漏えいの危険性を低減できるとしている。

 メールに添付したファイルからの情報漏えいを防ぐにはファイルへのパスワードロックが多く使われる。だが同社の渡邊大隆 エンタープライズ・マーケティング部 プロダクト・マーケティング課 課長補佐によれば、ファイルのパスワードロックだけでは情報漏えい対策は十分ではないという。

 「パスワードをかけてファイルが正しい相手に届けば“ハッピーエンド”と思っている人も多いが、そんなに甘くはない。受け取った相手がさらに下請け企業に転送したり、自宅に持ち帰ってWeb上にアップロードしてしまう場合もある。わざとアップロードする人はあまりいないかもしれないが、Dropboxなどのクラウドストレージでは簡単に他人とファイルを共有できるので、間違えて公開してしまう可能性もある」(渡邊氏)

 FinalCodeなら、パスワードを設定することなく送信後のファイルの動きを“追跡”して管理できる。一方、FinalCodeだけでは利用者のポリシー順守意識が必要であるなどの課題もあったという。そこで同社が今月発表したのが、FinalCodeとの連携機能を搭載したメールフィルタリングソフト「m-FILTER Ver.3.5」だ。

 同製品はメールフィルタリング機能に加え、FinalCodeの簡易機能版である「FinalCode Express」をオプションで搭載可能。これにより、企業はユーザーへの運用ポリシーを徹底しつつ、メール送信後にもファイルを追跡して管理できるようにしたという。

photo m-FILTERとFinalCodeの連携イメージ

 道具登志夫社長は「どの会社にも社長の思い入れが深い製品はあると思う。当社ではこれまで、コンシューマー向けWebフィルタリングソフトのi-フィルターがそれだった。i-フィルターには多くのプロモーション資金を投入し、シェアは拡大できたものの、なかなかセールスの拡大にはつながらなかった。そこで、私の思い入れが深い“第2弾”が、法人向けサービスのFinalCodeだ」と意気込んでいる。

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