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» 2012年10月29日 10時00分 UPDATE

IT部門に不可欠な6つのコアスキルと情報活用戦略

企業を取り巻く環境が変貌する中、IT部門の役割も大きく変わりつつある。その結果、ユーザーからIT部門への“期待”と“現実”に大きなかい離が生じ、IT部門はその必要性を問われる事態に直面している。今、IT部門に求められるのは6つの観点に基づくスキルの修得だとITRの社長でプリンシパル・アナリストの内山悟志氏は説く。中でもビジネス貢献のための鍵を握るのが、企業の情報活用を促進する「分析指向」だ。

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ユーザーからの期待に背くIT部門の“現実”

 経営層やユーザー部門からIT部門に寄せられる“期待”と“現実”との間に、埋めがたい溝が生じている――。こう論じるのはIT調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)でプリンシパル・アナリストを務める内山悟志氏だ。

ITRのプリンシパル・アナリスト 内山悟志社長 ITRのプリンシパル・アナリスト 内山悟志社長

 その理由として内山氏が挙げるのが、IT部門の役割の変化である。グローバル化の流れの中で、IT部門が面倒を見るべきシステムは、国内のみならず世界中にまで拡大。また、ビジネスの見直しが急務となっていることを受け、IT基盤の整備や運用のみならず、業務モデルやプロセスといったより上流へのサポートもユーザーから期待されている。現実に目を転じれば、そうした要請に応えられているIT部門は決して多くない。

 一方、上流業務の支援には、従来とは全く異なるスキル習得が欠かせないにもかかわらず、コスト削減の要請を受け、限られたリソースでの業務が多忙さを増す中、新たな技術習得が困難になっている。さらに技術がここまで成熟した結果、多様なパッケージが提供され、SaaSも一般的に用いられている。これは、裏を返せば社内で開発から運用まで行うべきシステムが着実に減少していることを意味する。

 「こうした中、現実を直視せず、意識改革が不十分なあまりに付加価値の低い業務しか手掛けていないIT部門も存在します。社内から不要との声が噴出しても決して不思議ではないのです」と内山氏は警鐘を鳴らす。

6つの指向のスキルを習得し新たな付加価値を生み出す

 IT部門を存続させるには、その価値を社内に認知してもらうことが不可欠である。そのためには、経営者はもちろん、意思決定にかかわる戦略部門や企画部門、販売の最前線である営業部門、マーケティング部門、さらに物流部門など、幅広い部門に対するビジネス視点での支援が重要だと内山氏は訴える。

 ただし、必要とされるスキルが多岐にわたるだけに、実践までの道のりは遠く険しい。この状況を打開するための“解”に内山氏が位置付けるのが、「アーキテクチャ指向」「マネジメント指向」「ビジネス指向」「グローバル指向」「分析指向」「技術指向」という6つの観点に基づく新たなスキル修得だ。これらは従来のIT部門の業務を高度化させることを目的とするものと、ユーザー部門の業務まで踏み込んで支援を行うためのものに大別される。

IT部門に不可欠な6つのコアスキル IT部門に不可欠な6つのコアスキル

 そのうち前者に該当するのが「アーキテクチャ指向」と「マネジメント指向」である。全社的かつ長期的な視野に立ったシステム開発力の強化と、システム範囲がさらに拡大する中でのガバナンスの維持が、それぞれの狙いとなる。

 後者について、「ビジネス指向」は経営者や現場責任者の視点に立ち、部門横断的なプロセスの見直しを実現、ひいてはビジネス変革を実現するためのスキルと位置付けられる。単なる海外のシステム運用にとどまらず、グローバルな視点に立ったシステムの最適配置やローカライズの許容範囲を見極めるのが「グローバル指向」だ。「分析指向」は企業の情報活用の高度化を促すことを主眼に置いたもの、「技術指向」は、IT部門として能動的に技術検証を行い、ユーザーに対してその用途を提案するために不可欠なものである。

 「これらはIT部門にとって大切なコアスキルです。中でも『分析指向』は、過去や現在を正確に把握するだけでなく、将来の的確な予測を通じて、現場業務を直接的に支援できるものです」(内山氏)

 内山氏によると、これまでも多くの企業で情報活用が推進されてきたものの、まだ限られた範囲の取り組みにとどまっているという。

 「高度な分析を行うために、IT部門はデータウェアハウス(DWH)の構築や、BIツールの導入などを行ってきました。しかし、実際にはここまでのシステムを使いこなすまでには至らず、研究開発やマーケティング部門などによる個別の分析のみで、単なるレポーティングにとどまっていたのが実情でした。情報の活用、分析の重要性がますます高まる中、その価値を十分に引き出すには、さらに一歩踏み込み、現場の社員自身が情報を咀嚼して何らかの気付きを得られるようにならなくてはならない。そのためにも分析に対する意識を底上げし、取り組みを全社的なレベルにまで浸透させることが必要なのです」(内山氏)

表計算ソフトでのデータ管理からの脱却

 「分析指向」において情報活用を全社規模の取り組みにするための手法として内山氏が提示するのが、次の3つの施策の段階的な実施だ。まず1つ目の施策がIT部門の情報武装である。IT部門では実のところ表計算ソフトなどを用い、属人的な手法でデータを管理していることが少なくない。しかし、社内で情報活用を促すためには、自身が分析に精通しておかねばならない。

 2つ目の施策として、社内に散在するデータの統合を通じて、全社的なデータ管理基盤の整備と分析ツールの一元化を目指すべきだという。IT部門には業務部門からさまざまなデータ抽出依頼が多数寄せられ、その対応に時間が割かれてきた。そのことが、要求に応える分析結果が得られなかったり、データに齟齬(そご)を生む原因となったりしていた。つまり、データの活用や分析において必要となる“時間”が、IT部門の足かせとなっていたのだ。

 さらに、これまで多くの企業では部門ごとにデータマートが乱立し、異なる部門が同じ目的でデータ分析に取り組むケースも散見されたほか、部門横断的な連携が図られていないため、矛盾した仮説に基づく分析もあった。また、分析結果のアウトプット手法が属人化していることも珍しくない。そのため、分析結果を全社的に比較検討することが難しく、意思決定にそれらを役立てることが困難であった。そこで、IT部門の主導によりデータ基盤を整備することで社内データを一元化し、分析ツールを共通化させるわけだ。

 「IT部門に求められるのが、経営者を含めた全社員の意識改革の旗振り役となり、“仮説−実施−検証”のサイクルの重要性を企業のDNAに刻み込むことです。経営戦略がデータに軸足を置いたものに生まれ変わったとき、現状では的確な検証作業が行えないとの気付きが生まれ、必然的にデータ基盤の整備とツールの統一が進むわけです」(内山氏)

 特筆すべきは、データそのものを管理する役割もIT部門が担うことである。もちろん、データのオーナーは各部門でも構わない。しかし、分析対象となるデータについてはIT部門が管理権を握らなければ、セクショナリズムなどの問題によりデータが十分に集まらないなど、組織横断的な利用が頓挫する事態に見舞われる可能性が高いのだ。

 情報活用におけるIT部門の最も重要なミッションは、このデータ管理だと内山氏は強調する。

 「社内には多様なデータが存在しますが、部署ごとに用語の意味が異なるなど、その活用を阻む壁は少なくありません。それらを乗り越えるために、『ビジネス指向』のスキルを高め、各部門と連携して用語を翻訳し、全社的な共通理解を得る必要があります。また、重要なデータを取捨選択し、そのモデルを定義する作業も継続して求められます」(内山氏)

 データ管理基盤の整備を通じて、データマートを用いる従来の手法よりも、分析実施までの期間を劇的に短縮することも可能だ。データマートではデータの抽出に数週間を要し、分析精度を低下させる原因になっていた。

 3つ目の施策が、情報分析に深い知識を備えたスタッフによって、情報の利用促進を社内に働きかける組織「BICC(ビジネス・インテリジェンス・コンピテンシー・センター)」をIT部門が担うことである。内山氏によると、IT部門は社内で最もBICCに近い存在なのだという。BICCのスタッフには分析ツールやデータ、さらに数理統計に対する深い理解が必須で、IT部門は「技術指向」によってこのうちの2つに精通する。残るは数理統計に詳しい人材の獲得だけだ。BICCを置く欧米企業は多く、その設置にあたりIT部門が何らかの形でかかわっているのだという。

IT部門はBICCになれ!

 しかし、現状はなかなかうまくいっていない。日本においては、情報を経営戦略の中核に置く企業はまだ少なく、多くは前述の2つ目の施策にまでたどり着いていないのが実情である。その背景には技術的な理由から「従来はできなかったことが可能になった」ことと、「本来やるべきなのに行えていなかった」という2つのケースがあるのだという。

 特に問題なのが後者の「本来やるべきなのに行えていなかった」場合である。「その理由は一重にIT部門の『ビジネス指向』不足。つまり、ビジネスに役立つ分析を行おうと考えても、どのデータをどこから集めてくればよいのかが分からず、DWHの整備までに取り組みがとどまらざるを得なかったのです」と内山氏は話す。これらを克服すべく、「分析指向」と「ビジネス指向」で対応にあたるべきというのが内山氏の考えである。

 その上で、最終的にIT部門がBICCになるためには何をすべきか。まずは、経営者が会社の舵取りを行うにあたり、最も必要としていることを把握し、その実現に向け啓蒙活動や技術習得に取り組む。その過程でBICCが必須となれば、自ら手を挙げBICCになることを宣言する。小さく初めて結果を積み重ね、その必要性を認めさせる。これが現実的なアプローチとなるわけだ。こうした取り組みは今すぐ着手することが可能なのである。

 併せて、必要な人材の獲得やサポートの深化など、できる分野から必要な施策を実施していくわけです。まず、小さく始めて結果を積み重ね、その必要性を認めさせる。これが現実的なアプローチとなる。こうした取り組みは今すぐ着手することが可能だ。

 運用の過程でデータの精度や品質の低下に見舞われる企業は多い。この原因はデータが分析要件に合致しなくなったことによる、現場での独自のデータ変更や追加などだ。しかし、「ビジネス指向」の高いBICCであれば、現場のデータの活用度や満足度に関する継続的な調査から、そうした動きもいち早く察知でき、事前に対策を講じることも可能だ。データガバナンスのさらなる強化も期待できる。

 データは企業のあらゆる状態を示す客観的な事実であり、経営者にとって不可欠なものでもある。膨大なデータを短期間に処理することが可能なインメモリデータベースの登場など、分析基盤の整備に向けた追い風も吹いていると内山氏は説明する。

 これまで以上に高まる経営者や業務現場の要望に果たして応えられるか。それはIT部門の情報活用に対する意識変革とスキルの習得度合いにかかっている。

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提供:SAS Institute Japan 株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2012年11月30日

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