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» 2012年10月24日 08時00分 公開

成功するITマネージャーの「人づきあい術」:自分に貼られたレッテルを変える6つの方法

自分がいくら行動を変えようと努力しても、自分に対する周囲の見方(レッテル)は簡単には変わらない。レッテルが変わるために必要な6つのアプローチを紹介する。

[青木裕,ITmedia]

 今回は他人と一緒に働く力を高めるために、ITマネージャーが自分の行動を変えようと努力しているプロセスを周囲にうまく伝え、自分に貼られたレッテル(メンバーの見方)を変えていく方法をお伝えする。

 いくら優秀なリーダーでも、自分自身の言動に関する悪癖を克服するには、早くても3カ月、平均すると1年から1年半もの時間がかかると言われる。つまり、どんなに変わる努力をしていても、毎日の変化はとても小さい。黙っていたら、その変化に周囲が気づかないということだ。

 また変化の途中だからこそ、突然に悪癖をさらけ出してしまうこともある。「結局は何も変わっていないじゃないか」と周囲に言われないよう行動することは、自己変革をするのと同じくらい重要だ。そして、自分の行動を変えるよりも、周りが抱いてしまった自分に対するレッテルを変えることの方がずっと難しい。

 ITエンジニア、財務や経営企画といった専門的なバックグラウンドを持つ人の中には、仕事は相当にできるものの人当たりは厳しいという人がいる。人当たりの厳しさは、主に正論で相手を論破し、追い詰めてしまうことから生じる。指摘した内容がいくら正しくても、相手は「何か釈然としない」と感じてしまうのだ。結局、その思いが火種となって反感へとつながってしまう。IT部門と営業などの業務部門との間に溝ができてしまう大きな原因の一つには、ITエンジニアが「相手を論破してしまう」ことがあるのではないかと思う。

 もし読者の中に、将来は経営幹部になることを目指す人がいるなら、「相手から反感を買おうが論破してでも言うべきことは言うべきだ」というスタイルをできるだけ早く止めた方が良い。

 弊社が行う「エグゼクティブ・コーチング(エグゼクティブの意識変革・行動変革を支援するためのコーチング)」での経験をもとに紹介すると、上述のようなスタイルを貫く場合、よくて部長までは昇進できるが、その先はない。さらに上の役員となるためには組織の中に味方を作るだけではなく、敵を作らないことも大切だ。

 相手を論破して将来の敵をつくってしまうのは得策ではない。正論を言えば言うほど、組織の中で成果が出せなくなる。成果を出すためにしているはずの行為が、結果として自分から周りの人と成果を遠ざけるというパラドックスに陥る。頭が切れる優秀な人ほど、気をつけるべきだろう。

 それでは、自分に対する周囲の見方を変えるための具体的な6つの方法を説明しよう。どれか一つでも実践することで、周囲の見方が変わるきっかけとなるはずだ。ハードルは高いが、最も効果があるのは、1から6までを順番に全て実施することである。

  • 方法1:フィードバックを受け取る
  • 方法2:謝罪する
  • 方法3:「変わる」と公言する
  • 方法4:アドバイスを聞く
  • 方法5:「ありがとう」と言う
  • 方法6:フォローアップをお願いする

方法1:フィードバックを受け取る

 メンバーの見方を変える第1の方法は「フィードバックを受け取る」ことである。フィードバックの対象は、「現在の自分自身の言動」だ。フィードバックを受け取ることで、自分の長所や短所を客観的に分かり、何を改善し、何を継続するかを自分自身で見出せる。360度評価を採用する組織に属しているなら、その結果を活用すると良い。周囲からのフィードバックを受け取れない場合は、匿名のアンケートを行ってメンバーから20の悪癖を挙げてもらうようにするなど、自身でフィードバックを受け取る環境を作っていかがだろうか。

方法2:謝罪する

 第2の方法は「謝罪する」ことである。「メンバーに謝るなんて、とんでもない!!」「リーダーとしてのプライドが……」と思う方もいるかもしれないが、実際にやってみると、意外に簡単だ。プライドが傷つくようなことではない。肩の荷が下りるような感じだろうか。これまで謝ることなどなかったリーダーが謝れば、それだけでメンバーには本気で変わろうとしているリーダーの意思が伝わる。メンバーとの悪化した人間関係をそのままにしていては、リーダーの望む行動変革の弊害にもなる。

 効果的に謝るためのオススメの方法を紹介する。

  1. メンバーを集める
  2. 謝る内容について述べ、「申し訳ありませんでした」と言う
  3. 「これからは、もっと良くなるように努力します」と付け加える
  4. あとは何も言わない(重要なポイント。何かを付け加えることにより、謝罪の効果が薄れてしまうからである)

方法3:「変わる」と公言する

 第3の方法は「変わる」と公言することである。第1回のコラム(リンク挿入)で解説したように、人には「思考の枠」がある。つまり、リーダーに反発心を持つメンバーは、そのリーダーの言動全てが「気に入らない」という状態にあるのだ。この状態でリーダーがどんなに頑張っても、このメンバーから「変わった」と言われることは決してない。

また、人は興味のないことには関心を示さない。公言せずに努力を重ね、なんとか変わったとしても、リーダーに興味がないメンバーは変わったことにすら気づかないだろう。しかし、変わろうとしていることを伝えると、いずれのメンバーも、リーダーが変えようとしている行動に注目し始める。だからこそ、「変わる」と公言することが大切だ。「変わる」と公言することは、同時に自分自身へ有言実行の意識を促す。行動変革を継続させるための動機付けにもなる。

方法4:アドバイスを聞く

 第4の方法は「アドバイスを聞く」こと。具体的な方法を下記に紹介しよう。

  1. どんなアドバイスでも黙って聞く:相手のアドバイスを批判したり、その場で「役に立つかどうか」を判断したりしない。コメントも判断も一切せず、ただ黙って聞く
  2. メモを取る:メモを取ることで、全てのアドバイスを受け取ることができる

 なお、全てのアドバイスを実行するのではなく、効果があると思われるものだけ実行すると良い。アドバイスをくれたメンバーに「全てのアドバイスを実行する」などと、決して約束してはいけない。実行できなかった場合、新たな不満を招くことになる。

方法5:「ありがとう」と言う

 第5の方法は「ありがとう」と言うことだ。第4の方法「アドバイスを聞く」を終えたら、必ず「ありがとう」と言おう。「ありがとう」と言われて、嫌な気分になる人はいない。「ありがとう」を言う習慣をつけることは、人間関係を良好にする。また、今の自分がいるのは自分の力だけによるものではないということを改めて気づかせてくれる。

方法6:フォローアップをお願いする

 第6の方法は、周囲に「フォローアップをお願いする」ことだ。フォローアップとは行動変革を継続させるために、他人を巻き込んでフィードバックを受けることである。

フォローアップには次のような効果がある

  • 行動変革に取り組んでいることをリーダーが常に意識できる(サボらなくなる)
  • メンバーに対して、継続的に努力していることと、改善の進み具合を知らせる
  • アドバイスを実行することで、リーダーに対するメンバーの信頼感が高まる
  • リーダーが変わる姿勢を見て、メンバーも行動変革に取り組もうという気持ちになる

 フォローアップは例えば、次のようにして受ける。

 「『人の話を最後まで聞く』という目標を立て、先日あなたからアドバイスをもらいましたが、その点について、今週の(今月の)私はどうでしたか?」

 フォローアップを継続的に行えば、自分自身の行動と自分の評判を同時に変えていくことができる。フォローアップをお願いされたメンバーは、悪い気はしない。むしろ、自分が尊重されているように感じるだろう。無理のない範囲で、どれか一つでも実践してみてはいかがだろうか。

 次回はITマネージャーにとっての上司からの評判をコントロールする方法を解説する。

執筆者プロフィール

青木裕(あおき ゆう)、ビジネスコーチ株式会社執行役員 ビジネスコーチ アジア 取締役。SIerにてプロジェクト運営にコーチングを導入。常駐先で運営手法が評価を得て、コーチング研修を実施。2006年、ビジネスコーチ株式会社に参画。2010年より現職。本連載記事を再編集した電子書籍「成功するITマネージャーの『人づきあい術』」が主要電子書店で入手可能です。


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