日本能率協会の調査にみるマネジメントの実態松岡功のThink Management(2/2 ページ)

» 2012年11月22日 08時00分 公開
[松岡功,ITmedia]
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課題山積のグローバル人材マネジメント

 図2には、人事・教育領域でとくに重視している課題について昨年と比較したグラフを紹介しておく。1位は「管理職層(ミドル)のマネジメント能力向上」50.2%で、昨年と同じく最も多い。「次世代経営層の発掘・育成」と「賃金・評価・昇進制度の見直し・定着」は共に27.4%の同率2位で、昨年の27.8%で同率2位と同じパターンだった。

<strong>図2</strong> 人事・教育領域でとくに重視している課題(昨年との比較、日本能率協会の発表資料より) 図2 人事・教育領域でとくに重視している課題(昨年との比較、日本能率協会の発表資料より)

 図2において昨年との比較で注目されるのは、「グローバル経営人材の育成・登用」と「事業展開に応じた機動的人材配置」の動きだ。「グローバル経営人材の育成・登用」が昨年7位(18.6%)から今年4位(26.8%)に上昇した一方、「事業展開に応じた機動的人材配置」は昨年2位(34.9%)から今年6位(23.4%)に低下した。

 「グローバル経営人材の育成・登用」の上昇ぶりをみると、経営課題と同様、グローバル展開への対応が急務になっている状況がうかがえる。

 とはいえ、グローバル人材マネジメント施策の取り組み状況における調査結果をみると、「グローバルな基幹人材の育成」「ローカルでの人材育成」「本社経営幹部への外国人登用」「事業展開に必要な人材の明確化」「人材の把握(データベース構築)」「キャリアパスの設計」「国境を越えた人事異動の実行」「評価処遇制度のグローバルな統合」「グローバルな経営理念の浸透」「人事機能のグローバルな連携体制の構築」といった10項目すべての設問で、「できていない」(「十分にはできていない」「ほとんどできていない」の合計)とする回答が大半を占めた。

 ちなみに、「ほとんどできていない」との回答が多かったのは、「本社経営幹部への外国人登用」89.0%、「評価処遇制度のグローバルな統合」76.5%、「国境を越えた人事異動の実行」71.2%、「人事機能のグローバルな連携体制の構築」67.7%といったところだ。

 この結果から、グローバル化に向けた人材面の取り組みが十分にできていない現状がうかがえる。

 ただ、今回の調査結果で、経営課題にしても人事・教育領域でとくに重視している課題にしても、グローバル化への対応が一層、経営者の頭を悩ませる状況になってきていることは確かなようだ。

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