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» 2012年12月03日 08時00分 UPDATE

@IT情報マネジメントカンファレンスレポート:導入先行企業の事例に学ぶ――スマートデバイス導入の秘訣とは? (1/2)

11月16日に開催した@IT情報マネジメントカンファレンスでは、昨今注目を集めるスマートデバイスのビジネス活用について、ユナイテッドアローズやローソンなど業界大手のユーザー企業が導入事例を紹介した。

[編集部,ITmedia]

ワークスタイル変革に向けたBYOD環境の整備を

mi_sato.jpg ユナイテッドアローズの情報システム部システムサポートチーム、佐藤弘明マネジャー

 BYOD(Bring Your Own Device:私物デバイスの業務利用)を成し遂げたユーザー企業の視点から事例講演を行ったのは、紳士服・婦人服などの仕入・企画・販売を手掛けるユナイテッドアローズの情報システム部システムサポートチーム、佐藤弘明マネジャーだ。同社では2010年1月から翌年6月にかけて、「場所・時間・物に左右されないコミュニケーションを多様化できる働き方」を目指しBYOD環境の整備を行った。現在では私物のスマートデバイスに加えて、会社貸与の260台のiPhone、520台のiPadでの店頭での業務系アプリケーションの利用も可能だ。

 現場のニーズを満たすシステム部門の提案から始めたBYODの取り組みだが、「実施においては苦労もあった」と佐藤氏は振り返る。まずはセキュリティ問題だ。これについては、ローカルにデータを保存させないという原則でツールを選定し、e-Janネットワークスの「CACHATTO」などにより環境を構築したという。

 もう1点が人事との連携だ。これについては慎重に段階を分けて展開、振り返りを行い、都度人事部門との検討、協議を行いながら、それを誓約書にまとめて利用者の提出を義務付けた。

 佐藤氏は「BYODはあくまで本人が利用を望み、業務効率化、生産性向上のための仕組みである」と話す。またBYODだけではなく、会社貸与のデバイスも含め、管理、セキュリティを考慮した、利用形態、要望にあった複数のデバイスを使い分けながら展開している。「BYODにおいてはユーザーへ意図、目的理解の働きかけと会社、人事部門等の“巻き込み”が重要。システム部門単独ではなく、社内各部門と調整しながら徐々に段階を踏んで拡大展開を図ることが成功のポイントだ」と結んだ。

mi_aoyama.jpg IIJ プロダクトマーケティング部1課の青山直継課長

 次いで登壇したIIJ プロダクトマーケティング部1課の青山直継課長は「ITのコンシューマ化は止められない」と指摘する。「SNSを利用して業務上のコミュニケーションを行ったり、DropBoxでデータ共有したりするのはユーザーにとって当たり前のことだ」(青山氏)

 「スマートデバイスの活用形態も“深化”している」と青山氏は指摘する。数年前はスマートデバイスのビジネス活用は話題先行の感が否めなかったが、現在は「現場ニーズとして確立した」という。「使われ方も、単なるプレゼンテーション端末から、特定用途における業務端末へと変わってきている」(青山氏)

 IIJは、スマートデバイスを「使う/つなぐ/管理する」という視点からソリューションを提供する姿勢だ。具体的にはIIJ GIO仮想デスクトップサービスで「使う」環境を構築し、LTEに対応したIIJモバイルサービスによって「つなぐ」回線を提供し、クラウド型MDMサービスのIIJ Smart Mobile Managerで「管理する」ことを担保するという。

モバイルセキュリティは「今そこにある危機」だ

mi_sakamoto.jpg トレンドマイクロ エンタープライズマーケティング部の坂本健太郎氏

 セキュリティの観点から、スマートデバイス導入のノウハウを提示するのはトレンドマイクロ エンタープライズマーケティング部の坂本健太郎氏だ。

 「決してスマートデバイスは危ないから使うな、という話をするつもりはない」としつつも、「遠隔操作ウイルスが話題になっているが、スマートデバイスの世界でも同様のことが起こりうる」と坂本氏は警鐘を鳴らす。

 遠隔操作という手口は従来からあるものだが、最近はその目的が変化してきたという。以前は単なる愉快犯が多かったが、ネットワーク上に換金性の高いデータが増えるにつれ、「裏社会の情報ビジネスとつながってきた」(坂本氏)という。

 既にAndroid上では2万4000件の不正プログラムが確認されているといい、また実に20%ものオフィスワーカーが許可なく私物スマートデバイスを業務利用している現状(調査会社ITRのレポートによる)を考えると「スマートフォンの乗っ取りは“今そこにある危機”と言っていい」というのが坂本氏の見解だ。

 坂本氏によると、スマートデバイスにおいてはMDMの導入が先行し、ウイルス対策が後手に回っている実態があるという。私物の業務利用に加え、貸与端末の私的利用というリスクを考えると「スタンドアロンのアンチウイルスでは不十分。PCと同様にポリシーベースの統合型ウイルス対策が必要だ」

 同時に、スマートデバイスならではの対策も求められる。業務データだけを消去するセレクティブワイプ、OSの脱獄(改造)対策、そしてアプリケーション管理(MAM)などだ。

 これらをシステム管理者が負荷なく実現できるよう提供しているのが、TrendMicro Mobile SecurityおよびそのSaaS版であるTrendMicro Mobile Security Serviceだという。「今後は、モバイルアプリの信頼度を評価するレピュテーションサービスも提供する予定だ」(坂本氏)

mi_uchino.jpg ランチタイムに実施した編集部による「公開取材」の様子。調査会社IDCのアナリスト、片山雅弘氏はスマートデバイス導入の要点について「PC持ち出しを禁じられているスタッフに対しPCを持ち出せれば生産性が上がるか? と問うても半数以上が“上がらない”と回答した。他方、モバイルワーカーに同じ調査をしたところ全く逆のポジティブな結果が出た。まず使ってみるのが重要だ。通信料込みで考えるとスマートデバイスは安くないが、それにより“できること”を積み上げれば十分投資効果はある」と指摘した。
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