日本発のソフトウェアを世界に! MIJSが取り組む地方活性化とグローバル化品質とアイデアで勝負

世界での売り上げ拡大を目指す日本のソフトウェアベンダが結集し、海外展開と国内競争力の強化を図るためのコンソーシアムであるMIJS。足元の基盤を整備し、“日本ブランド”を高めるべく、今注力するのが、地方における啓蒙活動だ。

» 2012年12月07日 10時00分 公開
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 「日本のソフトウェアは品質では決してグローバルでも引けをとらない。世界中のユーザに使ってもらうためには何が足りないのか」――。試行錯誤を繰り返しながら、国内ソフトウェア企業の地位向上を目指し、国内ビジネスの基盤強化と海外展開の推進を2006年から行っているMIJS(メイド・イン・ジャパン・ソフトウェア)コンソーシアム。

 閉塞感の強い日本経済にあって、国内ソフトウェアベンダも苦しい戦いを強いられている現在、同コンソーシアムはあえて海外、そして地方へと目を向けた普及活動を積極的に行っている。彼らが描く日本のソフトウェア産業の将来について話を聞いた。

世界で戦うためにはマーケティング力が不可欠

 「ITに限らず、日本の産業構造は現在、大きな転換点を迎えている。ソフトウェアに関して言えば、“手組みの限界”がはっきりと見えている」と語るのはMIJSの理事長を務めるエイジアの美濃和男社長。受託開発よりもパッケージを使ったシステムを企業が採用する時代が確実に訪れているという。組織の中でITは“聖域”であるといった雰囲気が薄まってきており、実際に、システムインテグレーター(SIer)の案件は減少傾向にあるとしている。

MIJS理事長を務めるエイジアの美濃和男社長 MIJS理事長を務めるエイジアの美濃和男社長

 また、顧客から求められるソフトウェアのあり方も大きく変わってきている。ソフトウェアそのものよりも、そのソフトを使ってどんなサービスが提供できるのか、何が実現するのか、もっとはっきり言えば、このソフトを使えばどのくらい売り上げが伸びるのか、そういった具体的な指標を顧客は求めているのだ。ソフトウェア単品だけを売る時代は既に終わり、そこから派生するビジネス上の価値までを含めた提案をしなければ顧客には振り向いてもらえない。この傾向は、国内はもちろん、海外でも同様である。

 そうした転換点にあって、海外市場で国産ソフトウェアの存在感を高めていくには何が必要となってくるのだろうか。プロダクトビジネス推進委員会委員長を務めるネクスウェイの富加見順社長は「顧客からの厳しい要求を耐え抜いてきた日本のソフトウェアが品質で海外製に劣るということは決してない。現在、一番ネックになっているのはマーケティング。製品やサービスの見せ方はどうしても欧米企業の方が上を行っている」と言及する。

 美濃氏も「日本企業ならではの強みというのは必ずあって、例えば、販売促進の一環として携帯向けにメールを出すシステムなどは日本が発祥である。こうしたソリューションに注目している国は少なくない。国内ソフトウェア企業にしか蓄積されていない貴重なノウハウを、世界に向けて発信する必要性を痛感している」とマーケティングの重要性を強調する。

確実に成果を上げつつある地方ワークショップ

 MIJSには現在、理事会の下に「海外展開委員会」「製品技術強化委員会」「プロダクトビジネス推進委員会」の3つの委員会が置かれている。うち、プロダクトビジネス推進委員会には「普及啓発ワーキンググループ」「経営力向上ワーキンググループ」という2つのワーキンググループ(WG)があり、MIJSにおける普及活動の中心となっている。海外でも評価されるソフトウェアを作るには、国内ソフトウェアベンダの力を底上げし、あらゆる意味でのスキルアップを図っていく必要がある。そこでプロダクトビジネス推進委員会では参加企業のスキルアップを図るための活動を積極的に行っている。

MIJSプロダクトビジネス推進委員会委員長を務めるネクスウェイの富加見順社長 MIJSプロダクトビジネス推進委員会委員長を務めるネクスウェイの富加見順社長

 「経営力向上ワーキンググループでは、MIJS参加企業が集まって新入社員のフォローアップ研修会やマーケティングの勉強会を行うなど、人材育成に力を入れている」と富加見氏。例えば、直近ではプレゼンテーションの巧みさに定評のある講師を招き、プロのプレゼンスキルを学ぶ機会を設けた合宿を行った。このようなイベントは単に技術力だけでなく社会人としてのスキル全般を強化し、彼らが生み出すソフトウェアの品質向上に確実につながっていくのだという。

 そして現在、MIJSが最も注力しているともいうべき活動が、普及啓発ワーキンググループが主催する地方都市でのワークショップ開催だ。これまで和歌山、岐阜、大阪、沖縄といった地域で開催しており、今年10月には高知で行われた。ソフトウェア開発は本来、ロケーションフリーなものであり、どこにいても開発はできるはず。しかし、情報の一極集中の傾向はなかなか是正されない。地方のソフトウェアベンダへの普及および啓蒙活動は、グローバルで認められるソフトウェアを日本から生み出すためにも欠かせないという。地方でのワークショップ開催はかなりの手間を必要とするが、地元企業の協力を得ながら実施している。回を重ねるごとに大きな成果が得られており、特に高知のワークショップでは尾﨑正直高知県知事がゲスト講演を行い、注目を集めた。

 「日本全体に漂う閉塞感を打破するには、都会だけで活動していても駄目。地方から強くなる、地方だから優位性があるという意識を多くの方に持ってもらいたい。最近は地方のソフトウェア企業も受託事業からパッケージ製品の提供に移りつつある」と美濃氏は力を込める。

 地方でのワークショップは、MIJSの会員だけではなく、その土地でビジネスを行っている企業に広く参加を呼び掛けている。高知での開催では、地元の特産品である虎斑竹を扱う竹材専業メーカーなど、一見ITにあまり関係のなさそうな企業がいかにITで事業を加速させたかという事例が紹介された。

 「今の時代、事業をより良くしようとするのならITにかかわることは避けられない。それを地方の方々にも深く知ってほしい」(美濃氏)

 来年の地方ワークショップは仙台での開催が決まっている。東日本大震災の爪痕がまだはっきりと残っている東北での開催は、これまでのイベントとは違った意味を持つことになるだろう。

まずは世界に通用する1社を!

 世界中で誰もが使っているソフトウェアを日本から生み出したい。MIJSの参加企業はその理念だけでつながっていると美濃氏は言う。MIJSは啓蒙色が強い活動であり、参加してもソフトウェアの販促などに直接つながるわけではない。2012年11月現在、正会員企業は19社、準会員企業は50社を数えるが「組織を大きくすることにはあまりこだわっていない」と美濃氏は話す。正会員の数が少な過ぎるように思えるが、「日本のソフトウェア産業の底上げに力を尽くす覚悟、世界に出て行こうとする強い志を持っていて、同じ目標と理念を共有できること。正会員にはそれを求めている」(美濃氏)ため、この社数にとどまっているという。

 現在の目標は、世界の誰もが知っているソフトウェアを提供する1社をまずは輩出することだという。その実現までにはさまざまなハードルが待ち構えているが、「その1社を出せば必ず後から続く企業が増えるはず」と美濃氏は強調する。重要なのは、組織の維持ではなく理念の共有、これこそがMIJSの活動を支える根幹なのだ。

 一言で世界でといっても広い。どこから攻めるべきなのか。「現在は、アジア市場に目を向けている企業が多いのは間違いない」と富加見氏は言う。インドのほか、ベトナム、タイ、マレーシアなどは人口も多く、レガシーシステムも少ないため新しいソフトウェアを導入しやすいなど、日本のソフトウェアを普及させるには良い環境が整っていると見ている。だが一方で、「ITのトレンドを生み出しているのはやはりシリコンバレー。ここで認められることがどうしても重要になるのでは」とも富加見氏は話す。アジアでの普及とシリコンバレーでの認知、日本発のソフトウェアがグローバルで使われるようになるには、この2つを押さえなくてはならないだろう。

 当面の目標である“最初の1社”を誕生させるためには、まだしばらく時間がかかりそうだとするものの、「サイボウズやウイングアーク、テラスカイなど、グローバルでの知名度を高めている企業は少しずつ増えている。サイボウズのように、大企業が苦手な“顧客へのラストワンマイル”をソリューションとして提供できる企業は、必ず世界でも評価されるはず」と美濃氏は期待を込める。「プロ野球で言えば、最初に大リーグの世界に飛び込んだ野茂選手のような存在。そういう企業を早く送り出したい」(美濃氏)

 ITだけでなく、これまで内需中心の発展を遂げてきた日本企業は今まさに産業の転換期を迎えている。グローバルで戦っていくためにはこれまでの商習慣も変えなくてはならない場面も当然出てくる。文化の違いから生じる軋轢(あつれき)や齟齬(そご)も乗り越えていく必要があるだろう。それでもMIJSの理念は変わらない。近い将来に実現するその日まで、参加企業が思いを1つにしながら活動を続けていく。

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提供:MIJSコンソーシアム
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2013年1月11日

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