第1回 「恐竜」の再発明? データセンターを丸ごと1つのコンピュータに集約するzEnterprisePureSystemsが生まれたワケ(3/3 ページ)

» 2012年12月17日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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 z196ではzEnterprise BladeCenter Extensionと呼ばれる拡張用の筺体を用意、Power7やx86プロセッサを搭載したブレードサーバを格納し、z196とギガビットイーサネットで接続する。z/OS、AIX、Linux、そしてWindowsの各環境がすべて同列に扱われ、運用管理はメインフレームの自律的で高い水準のサービスが提供される。特性の異なるワークロードに応じて最適な資源、例えば、z196、Power7、x86の各プロセッサを割り当てられる一方、管理はzEnterprise Unified Resource Manager(URM)によって一元的に行えるようにしているという。

最新モデル、zEnterprise EC12では処理能力と包容力にさらに磨きが掛けられている

アプライアンスをアクセラレーターとして取り込む包容力

 また、z196に盛り込まれた異なるワークロードへの最適化を実現する「ハイブリッド化」の思想は、特定用途のアプライアンスを「アクセラレーター」として取り込む機能にもよく表れている。分かりやすい例としては、Netezzaデータウェアハウスアプライアンスとの連携がある。ブレードサーバ用のBladeCenter Extensionと同様、メインフレーム本体とNetezzaを接続することでアナリティクスのスピードを飛躍的に高めることができる。しかも、ミドルウェアのDB2が介在するため、アプリケーションは特にNetezzaを意識する必要がないという。

 つまり量的な変化とハイブリッド化は、企業のデータセンターを丸ごとプライベートクラウド化し、zEnterpriseメインフレームに詰め込むことを可能とした。これまで見てきたような柔軟さと管理性の高さは、クラウドに求めることと多くが同じだ。その包容力も桁違いで、1台のz196に対してBladeCenter Extensionを4台まで接続、これらを最大で8セットまで1つのコンピュータとして扱うことができる。提供できる仮想サーバの数はなんと10万に達するという。

 「1つのコンピュータに集約されることでより高い可用性が求められるが、それだけにSystem/360から半世紀培ってきたノウハウが生きてくる」と北沢氏。

 拙速なクラウド化によって新たなサイロが生まれる懸念もある中、既存のシステムを継承しながら新たな適用領域、ワークロードにも対応できるzEnterpriseのハイブリッドアーキテクチャーは、もっと注目されていいだろう。さまざまなサーバが混在し、複雑に絡み合っている企業のデータセンターを全体最適化していくための選択肢のひとつになり得るからだ。

 次回は、メインフレームを再発明することに成功したFabric-based Architectureの概念を採り入れ、オープン系システムを「再発明」したIBM PureSystemsについて紹介する。

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