第2回 メインフレーム譲りの包容力と仮想化のベストプラクティスが自慢のPureSystemsPureSystemsが生まれたワケ(2/3 ページ)

» 2012年12月25日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]

 さらに、zEnterpriseメインフレームでは、異なるCPUだけでなく、Netezzaデータウェアハウスアプライアンスのような特定用途向けのアプライアンスも接続し、「アクセラレーター」として1台の大きなコンピュータに取り込む「包容力」がある。

 しかも、その包容力は物理的なものにとどまらない。「ミドルウェアを介して利用することによって、アプライアンスのような異質なものもアプリケーションからは見えなくしている」(緒方氏)。

 今年4月に最初の製品が登場したPureSystemsファミリーは、こうした「アプライアンス」のように見えるので誤解を招きやすいが、似て非なるものだ。むしろ、ハイブリッド化されたzEnterpriseメインフレームと同じ思想で開発され、オープン系分散型システムの混沌を解決しようと生み出されている。

基本は新開発のファブリック型次世代ブレードサーバ

 PureSystemsは、一見、ハードウェアとソフトウェアを抱き合わせたアプライアンスに見えなくもない。しかし、PureSystemsは、汎用システムの柔軟性とアプライアンスの使いやすさ、そしてクラウドコンピューティングの俊敏性という相反する特徴を併せ持つ全く新しいシステムとして開発された。

PureSystemsのベースとなるコンポーネント「Flex System」

 PureSystemsのベースとなるコンポーネント「Flex System」は、いわゆるコモディティー化した業界標準サーバとは一線を画している。フラグシップのzEnterpriseメインフレームと同様、Fabric-based Architectureが採用され、より多くのCPUコアとそれに見合った大容量のメモリを高速なインターコネクトで接続する、次世代のブレードサーバだ。

 高さ10Uのシャーシには、前部に14個のベイがあり、Power7やx86のコンピュートノード、ストレージ、システム管理アプライアンスを収容、後部に取り付けられたスケーラブルなスイッチモジュールによって広帯域で相互接続する。仮想化環境では従来の縦方向ではなく、仮想マシン同士、つまり横方向のネットワークトラフィックが劇的に増えてくるが、Flex Systemでは仮想マシン間の遅延を1マイクロ秒以下に抑えるべく、1ノード当たり最大80Gbps、シャーシー内の帯域は最大で1120Gbpsに拡張できるようデザインされている。

「専門家の知識」でスピードとROIを向上

 仮想化環境に最適化されたハードウェアもさることながら、PureSystemsファミリーの強みは、さらに高い次元で最適化されたソフトウェアにある。IBMが培ってきたインフラやアプリケーションの構築、および運用管理に関するノウハウ、技術、経験など、いわゆる「専門家の知識」を組み込んでいる。同社がPureSystemsファミリーを「Expert Integrated Systems」という新しいカテゴリーとして定義したのはそのためだ。

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