2013年新春インタビュー

世界で通用する日本人を輩出する組織に SAPジャパン・安斎社長2013年新春特集 「負けない力」(2/3 ページ)

» 2013年01月01日 00時00分 公開
[聞き手:伏見学,ITmedia]

日本発のグローバル人材をつくる!

――社長の立場から見て、他社には負けないSAPジャパンの組織としての強みは何でしょうか。

 アカウント営業部隊とソリューション営業部隊の垣根が比較的低く、“ワンチーム”でビジネスを推進している点だと考えています。実際にオフィスの座席も近くにしています。顧客にとってはこうした体制の方がSAPへの接点が集約されて分かりやすいのです。同様に、営業部門とパートナー部門もワンチームになりつつあります。

 もう1つは、グローバルとの交流を促進したことで、さまざまなやり取りがスムーズになったことです。例えば、私の横にいる営業推進担当者は米国から着任したり、CFO(最高財務責任者)はドイツ本社から来たドイツ人が務めたりしています。日本からも海外に人材を送り込んでいます。ドイツにリージョンオフィスを立ち上げ、そこに若手の営業担当を据えていろいろな情報発信をさせています。こうした取り組みが他社と比べても負けないレベルに達しているのではないかと思います。

――根幹のビジネスにおいて競合に勝る点を教えてください。

 HANAやモバイルソリューションに代表されるように、オープンで単一のプラットフォームを提供できる点です。モバイルは、マルチデバイス、マルチOSに対応しますし、HANAというオープンなプラットフォームによって、最終的には情報系や勘定系などすべてのアプリケーションを動かすことができます。

 もう1つは、市場のニーズに対してスピーディーに対応できる点です。HANAをエンジンにERPを稼働するということをここまで早く発表できると思った競合他社は少ないはずです。確かに当初はHANAのリリースから3、4年後を計画していました。それをわずか2年強で本丸であるERPにまで組み込むことができるのは、非常にスピード感があるといえるでしょう。

――一方で、今後の課題として感じていることはありますか。

 これからのチャレンジという点では、グローバルで通用する人材を育てていきたいと考えています。SAPジャパンには仕事に対して真面目な、優秀な社員がたくさんいます。しかしながら、まだ日本だけの活躍にとどまっています。

 現在、APJ(アジア太平洋地域および日本)のレベニューにおけるSAPジャパンの貢献度は4分の1、プロフィットは3割以上です。では、APJあるいはグローバルでどれだけ日本の人材が貢献しているかといえば、ほとんどいません。日本発のグローバル人材をつくり、SAPの中で、あるいはSAPで育った人間が外部で活躍できるようになってもらいたいです。

 そのために、ドイツにリージョンオフィスを作りましたし、社員の海外出張回数を倍増して、できるだけグローバルの英知を日本に持ってくるようにしています。また、毎年APJで開かれる営業研修のキックオフに関して、私がSAPジャパンに入社する前は100人前後の参加者でしたが、昨年は200人強を参加させました。今年は約300人連れていく予定です。人から聞くのと、実際に自分自身の目で見るのとでは大違いです。このようにグローバルの会議に出席するチャンスを与えることで、社員の目を日本だけでなく海外に向けてもらいたいと思っています。

 そして将来、ぜひ日本人の社員がAPJのリーダーになることを願っています。

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