――2013年の目標について教えてください。
さらに飛躍して、次のステージを目指します。具体的には、日本オラクルのブランドバリューを変えたいと思います。単なるデータベースカンパニーではなく、日本オラクルが持つ価値やアセット、ノウハウによって顧客のイノベーションを支援する、そうしたブランドに変えていきたいです。
今までのようにITシステムの部品屋ではなく、ITで企業を変革するためになくてはならない会社になるべきです。常に顧客の横にいて、ITを活用してイノベーションを起こしたいというときにアドバイスできるような存在でありたいです。
――(米Oracleの)ラリー・エリソンCEOも「社会から必要とされる会社に」とよく話していますね。
国の形を変えるにせよ、社会インフラを変えるにせよ、スマートシティを作るにせよ、社会がいろいろなイノベーションを起こすときになくてはならない会社でありたいと願っています。
――そうしたブランドイメージに変わるにはどうすれば良いのでしょうか。
いくら口でもっともらしいことを言っても、具体的な成果を出せなければ意味はありません。成果というのは、最終的に日本オラクルのおかげで顧客が儲かるということです。
SaaSはそれを実現するための1つの武器でしょう。すぐに導入でき、すぐに結果が出て、売り上げにもつながる可能性が高いです。そこで引き続きCRM(顧客情報管理)分野やタレントマネジメント分野のサービスに注力していきます。
企業のIT予算が増えている状況ではない中、日本オラクルが成長しているのは、IT予算以外のところでビジネスを拡大するという戦略をとっているからです。現在の企業経営者の関心は売り上げです。こうした会社のコア部分を伸ばすための提案であれば、IT予算にこだわる必要はないのです。
――競合他社にはない、オラクルの強みとは何でしょうか。
オラクルの圧倒的な強さは、インテレクチュアルプロパティ(知的財産)です。元々のビジネスモデルの原点でもあります。ソフトウェアビジネスというのは、知的財産をソフトウェアに変えて販売するというモデルであり、世の中のデファクトスタンダードや最先端のテクノロジーが詰まっているのがオラクル製品なのです。従って、誰にも真似ができません。
コモディティ製品ではなくて、誰もが真似できないような知的財産が詰まったノウハウをソフトウェアとして提供しているのです。このビジネスモデルは今の時代において大きな強みです。これには政治力も必要だし、オープンスタンダードに準拠しないといけません。オープンなテクノロジーを活用し、その中で差別化を図っているのです。
――遠藤社長自身の経営者としての強みは何ですか。
変化を作り出す力です。たとえ20〜30%ビジネス成長しても現状に満足しません。常に新しいものを作り、変化を生み出し、新しいビジネスモデルにチャレンジし、イノベーションに対して自らアイデアを出して引っ張っていきます。言われたことをやるのではなく、自分で考えて周囲をリードしていくことを、ここ十数年続けてきました。
私自身はずっとこのようなスタンスで仕事をしてきました。こうしたことが強みでもあるし、私の人生観でもあると言えるでしょう。
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