Facebook、ユーザーデータへの競合アプリのアクセス制限について説明

Twitter傘下Vineのアプリで、Facebookの友達を探す機能が使えなくなっている。これについて、間接的ではあるがFacebookが説明し、プラットフォームポリシーを改定したことを発表した。

» 2013年01月28日 05時43分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米Facebookは1月25日(現地時間)、米Twitter傘下のVineの動画アプリやロシアYandexのソーシャル音声検索アプリWonder(米国でのみ公開)に対し、Facebookのユーザーデータへのアクセスを制限したことについて、間接的に説明した。

 ban 1 VineでFacebookの友達を探そうとすると表示されるメッセージ

 Vineは、24日に公開された無料のiOS向けソーシャル動画投稿アプリ。iOS端末で撮影した動画を最長6秒のループ動画として投稿でき、投稿した動画はTwitterおよびFacebookでも共有できる。このアプリの「友達を探す」機能でFacebookの友達を探そうとすると、「VineはこのFacebookリクエストの実行を許可されていません」というメッセージが表示される(右図)。

 YandexのWonderは、ユーザーのFacebook、Instagram、Twitter、foursquare、Last.fm、iTunesのソーシャルグラフを利用してパーソナライズした検索結果を提供するiOSアプリ。米TechCrunchによると、このアプリが公開された数時間後には、アプリからFacebookのデータにアクセスするAPIがすべてブロックされたという。

 FacebookでPlatform Partnerships and Operations担当ディレクターを務めるジャスティン・オソフスキー氏は開発者ブログで、「ここ数日、Facebookのプラットフォームポリシーについて何度か質問を受けたので、われわれの考えをはっきりさせておきたい」として、以下のように説明した。

 「Facebookの目標は、サードパーティー製アプリに簡単にログインし、パーソナライズされたソーシャル体験を作り出し、アプリでのユーザー体験をFacebook上で共有しやすくするプラットフォームをユーザーに提供することだ。ほとんどのアプリがこの目標に添っている」

 「だが、ごく一部のアプリがFacebookの機能を複製するか、Facebookユーザーにとっての価値をほとんど生成しない方法で、アプリのユーザーを増やすためにプラットフォームを利用している。Facebookはこうした行為をプラットフォームポリシーで禁じている。それをより明確にするために、今日、プラットフォームポリシーを改定した」

 改定したのは、ポリシーの「機能」の10項。これまでは、「競合するソーシャルネットワーク:(a)弊社の許可なく、Facebookプラットフォームを使用してユーザーデータを競合するソーシャルネットワークへエクスポートすることはできません。(b)Facebookのアプリは、他のいかなる競合するソーシャルネットワーク上のいかなるアプリにも、統合、リンク、宣伝、配信、またはリダイレクトしてはなりません」というものだった。

 これがもう少し詳しく、具体的になり、FacebookのAPIをアプリでのソーシャル体験提供のために使うのであれば、そのソーシャル体験をFacebookでも共有できるようにしなければならないこと、“Facebookのコア製品あるいはサービス”を無断でコピーした製品あるいはサービスの普及促進や、そうした製品あるいはサービスにFacebookのユーザーデータを転送する目的でFacebookプラットフォームを利用してはいけないことが明示されるようになった。

 Vineの場合、Facebookはこのアプリが“Facebookのコア製品あるいはサービス”を無断でコピーした製品と判断したようだ。

 Facebookが競合によるユーザーデータ利用を拒否するのはこれが初めてではなく、過去にはTwitterの「友達を探す」機能もブロックしている。また、ユーザーのプライバシーを守るという理由で、ユーザーがほかのWebサイトに連絡先データをエクスポートすることを禁じている(提携先の米Microsoftと米Yahoo!のサービスは例外)。

 VineをブロックされたTwitterも、開発者向けガイドラインやAPIの変更で競合へのAPI提供を終了している。これにより、例えば米LinkedInによるツイート表示ができなくなり、Facebook傘下のInstagramの「友人を探す」機能でTwitter上の友人を探せなくなった

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