モバイルセキュリティの米Lookout、日本市場に本格進出

AndroidやiOS向けのセキュリティサービスを手掛ける米Lookoutは日本法人を設立する。

» 2013年02月21日 08時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 モバイルセキュリティの米Lookoutは、日本法人を設立して国内市場で新規ビジネスを展開する。来日した国際製品担当ディレクターの阿久津みか氏とコミュニケーション担当ディレクターのアリシア・ディヴィットーリオ氏が明らかにした。

 Lookoutは、カリフォルニア州サンフランシスコに本拠を置き、2007年に南カリフォルニア大学の研究者らによって設立された。AndroidとiOS向けのセキュリティアプリおよび対策サービスの開発・販売を手掛け、現在は世界で3000万ユーザー、日本では100万ユーザーを有するという。

 特にAndroid向けでは無償セキュリティアプリとして人気が高く、マルウェア対策やバックアップ、盗難・紛失対策機能を提供するほか、12カ国語に対応している。有償版ではこれらに加え、個人情報保護やブラウザ保護などの機能も搭載する。

日本法人の設立を進めている米Lookoutのディヴィットーリオ氏(左)と阿久津氏

 このAndroid向けセキュリティアプリ市場は、同社のような専業ベンダーやPCでもシェアを持つセキュリティベンダー、セキュリティ以外のベンダーがひしめく激戦市場となっている。阿久津氏は、同社の競合優位性について、バッテリ消費を抑えるなどモバイルベースの製品であること、3000万ユーザーから提供されるクラウド型の脅威データベースを持つことが強みだと話す。

 「脅威データベースでは1日あたり5億スキャンの結果と2万以上のアプリの情報を収集している。マルウェアなどの登録情報は100万アプリ以上に達している。クラウドベースのスキャンによって、端末の負荷も小さい」(阿久津氏)

 ディヴィットーリオ氏によれば、最近のAndroidマルウェアは、ユーザーの端末を不正に有料サービス(SMSや通話)に接続させて金銭と搾取するタイプと、Androidのroot権限を奪取して端末を不正操作するタイプが急増しているという。なお、相対的に個人情報など盗み取るスパイウェアタイプの割合が低下しているものの、マルウェアの全体数は増加傾向にある。

 新規ユーザーにおけるマルウェア感染率は、ロシアや中国が40%近くと突出して高く、欧州や南米、中東などでは1%以下という。日本は0.1%以下と低いが、「自宅で稼ごう」といったうたい文句で出会い系SNSなどの「サクラ」を募るアプリ(実際には個人情報を盗む)が見つかるなど、独特な危険アプリが氾濫している状況。

 こうした新手の脅威に対して、同社ではWebサイトを閲覧しただけで有料ダイヤルに強制発信させるような不正コードの検出と実行を阻止する「ダイアラー機能」などの機能を随時提供している。

 事業のグローバル展開では既に英国にオフィスを開設しており、パートナーシップもVerizon、Sprint、T-Mobile、Orangeなど欧米の大手携帯電話事業者と締結。各キャリアのスマートフォンにはLookoutのアプリがプリインストールされているという。

 日本法人は都内に設立する予定で、現在は人材採用を進めている段階。阿久津氏によれば、国内キャリアとのパートナーシップ締結を目指し、将来は国内ユーザーに特化したサポート提供も視野に入れる。また、ディヴィットーリオ氏は「最近は米国でBYODが急速に広まっているので、中堅・中小企業向けのモバイルセキュリティソリューションの提供も計画している」と話している。

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