業務を止めない!――クラウドでも利用できる先進のバックアップシステムとは?中堅中小企業に贈るバックアップガイド【応用編】

万一の災害発生時でも事業継続を実現するには、データバックアップの仕組みが必須。さらに、出来る限り早期にシステムを復旧したいというニーズに対応するために、NECでは独自のソリューションも提供している。

» 2013年02月22日 10時00分 公開
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 事業継続のために何よりも重要なのは、社内に蓄積されたデータを消失しないことだ。そのためには、障害対策だけでなく、災害対策を想定したバックアップシステムを構築する必要がある。

 もし現在、バックアップデータのリロケーションすらしていないのなら、メディアに業務データを複製し、それを搬送するという手段がある。それでは復旧に時間が掛かるから不十分だと考えるならば、遠隔地のサーバにデータをレプリケーションし、災害時には手動で切り替えるという選択肢もある。遠隔地に拠点を用意できないなら、クラウドにホスティングすることもできる。ここまでは、前回の記事で紹介したとおりだ。

 小規模のシステムであれば、これである程度の事業継続性を担保できる。しかし複数サーバで構成される規模の大きいシステムや、大容量データのバックアップが必要なシステムの場合、手動でのオペレーションは運用負荷が大きいし、そもそも本番系と待機系を自動で切り替えたいという企業もあるだろう。

バックアップの自動化やデータの重複排除に魅力を感じるなら「統合・遠隔バックアップ」

 大容量データのバックアップは時間がかかるし、メディアの搬送も大変。かといって待機系サーバのメンテナンス負荷も掛けたくない。そして何より、障害や災害が発生しても迅速にデータを復旧し、業務の停止を最小限にとどめたい――ある意味「わがまま」な要求にも思えるが、そうした課題を解決できるソリューションも存在する。専用のストレージ製品を利用した「統合・遠隔バックアップ」である。

 NECでは、「iStorage HSシリーズ」を利用したバックアップソリューションを提案している。通常の場合iStorage HSは、ニアラインのバックアップストレージとして利用するが、遠隔サイトにiStorage HSを用意しておけば、ネットワークを通じて本番系のデータを自動的にバックアップできる。前編で述べた遠隔レプリケーションを実現できるというわけだ。

短時間でデータ復旧が可能なほか、重複排除など先進のストレージ機能を備える

 この場合、バックアップ対象の業務システムには手を加える必要はない。バックアップの作業自体も自動化・高速化されるため、メディアの入れ替えや搬送に伴う煩雑な作業や人為的なミス、長時間に渡るバックアップのための待ち時間も大幅に解消できる。

 そして、もし障害や災害などで本番サイトのデータが使えなくなった場合は、遠隔地のバックアップサイトのデータをGUIでリストアすればいい。

 大容量データでもこのような遠隔バックアップを実現できるのは、iStorage HSの大きな特長であるデータ容量を最大1/20にまで圧縮できる重複排除機能が効いているからだ。

 加えて、短期間で導入できることもユーザーにとってメリットだろう。業務システムのバックアップをテープドライブなどの装置で行っている場合、それを置き換える(iStorage HSを遠隔地に設置するならネットワーク経由で接続する)だけでよいからだ。バックアップソフトウェアも選ぶことはなく、マルチベンダーのサーバに対応しているため、複数サーバ、複数システムのバックアップを1台に統合できる。

 この高機能なストレージ装置を導入するためには、2台で約500万円からという初期コストが必要になるが、システムの規模が大きいほど、重複排除などの機能や既存バックアップサーバの統合によるコストメリットが出てくる。選択肢の一つとして検討に値するだろう。

 また、ユニークなことにNECでは、iStorage HSによる統合・遠隔バックアップについても、クラウドサービスを提供している。

 この場合、バックアップデータを保管するiStorage HSはあらかじめNECが用意し、NECのデータセンターに設置されたものとなる。ユーザーは自社環境に最低限のiStorage HSを設置しクラウド側と接続しておく。あとは自動的にバックアップが行われるのだ。バックアップ対象の既存システムに変更を加えることなく、遠隔サイトの運用管理が不要という、災害対策システムが完成する。

 この場合、運用サイト全体が被災するなどの大規模災害に見舞われるとデータの復旧先がなくなってしまうため、高度な事業継続を実現するには待機系サーバを別途用意する必要があるが、初期費用は最小限に抑えつつ、月額約9万円(7テラバイト)からというコストでサービスを利用でき、重複排除などiStorage HSならではのメリットを享受できるのが、このソリューションの魅力である。

遠隔サイトには月額約9万円(7テラバイト)からのクラウドサービスを利用することで、専用ストレージによるバックアップを安価に始めることができる

業務システムを止めない遠隔クラスタ

 ここまでに紹介してきた各ソリューション――単体バックアップ、遠隔サーバレプリケーション、統合・遠隔バックアップなどは、すべてデータ復旧を主眼に置いたソリューションだといえる。しかし最後に、「遠隔クラスタ」による業務システムの復旧まで含めたソリューションを紹介しよう。

 遠隔クラスタの目的は、「即時復旧」と「確実な事業継続」にある。具体的には、本番系サーバと遠隔の待機系サーバの間でクラスタリングを構築し、有事の際に待機系サーバへ「自動で」切り替えるというものだ。

 遠隔クラスタを構築する手段としては、NECが開発したI/Oレベルでレプリケーションを行うクラスタソフトウェア「CLUSTERPRO X」がある。もちろん、障害対策としても有効なソリューションであり、運用系サーバのアプリケーションの稼働状況を常時監視して、異常を検出すると自動的に待機系サーバに切り替える。

 CLUSTERPRO Xの最大の特徴と言えるのが、待機系サーバを仮想環境上に用意できることだ。一般的なクラスタソフトウェアの場合、運用系サーバと待機系サーバを同一のハードウェア/ソフトウェア構成にしておくが、その場合、ハードウェア/ソフトウェアのコストが単純計算で2倍掛かることになる。

物理環境と仮想環境のクラスタ構成でもCLUSTERPRO Xであれば、万一の際もサーバを自動で切り替え、事業継続が行える

 それがCLUSTERPRO Xでは、運用系サーバが物理環境であったとしても、待機系サーバを仮想環境に用意しておける。これにより、初期導入と運用のコストを大幅に削減することが可能だ。また、転送データの重複排除、圧縮転送、帯域制御などの機能を備え、狭帯域のネットワーク環境でも利用できることも、CLUSTERPRO Xの特徴である。

 このソリューションは、例えば、複数の業務サーバの災害対策を実施したいが、同じ台数のサーバを遠隔サイトに確保する予算がない、運用系サーバに各ベンダーのサーバが混在しているといった場合に有用だ。

身の丈にあったバックアップシステムから取り組もう

 ここまで、基本編・応用編を通じて複数のソリューションを紹介してきた。それらに共通することは、「障害対策にとどまらずデータの復旧までを見越したバックアップシステム」であるということだ。

 例えば単体バックアップや、BIGLOBEクラウドホスティングを利用した遠隔レプリケーションであれば、「災害対策はこれから」という中堅中小企業にとっても比較的容易に取り組めるだろう。本企画が、それぞれの身の丈に合った規模でバックアップシステムを選択する「道しるべ」になれば幸いだ。

※ 文中の価格には、構築費用・ネットワーク環境費用等は含まれません

今回の記事で解説したソリューションの位置づけ

遠隔クラスタはさまざまなバックアップの中でもデータだけでなく業務システムの復旧まで含めたソリューションだ

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2013年3月31日