シェフに売り込むビッグデータ分析? IT部門以外にビジネス機会が広がるIBM PartnerWorld Leadership Conference 2013 Report(3/3 ページ)

» 2013年02月28日 07時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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IBMのCMO、ジョン・イワタ上級副社長

 「2017年にはCIOよりもCMOのほうがより多くのお金をITに費やすだろう」と調査会社、Gartnerが予測したことはIT業界を大いに驚かせたが、この日、ムーア氏に続いてオープニングセッションに登場したのは、そのマーケティング業務をIBMで統括するジョン・イワタ上級副社長だった。

 「人々や機器が日々生み出しているビッグデータを統合して分析し、迅速で適切なアクションにつなげていければ、社会はより良いものになるし、顧客の理解も“個”のレベルで可能となり、企業は競争優位を得ることができる」(イワタ氏)

 IBMがコンピューティングの将来を睨み、2008年秋にぶち上げた「Smarter Planet」構想は、新しいITの潮流をつくることに成功したと言っていい。Smarter Planetとして括られる案件は昨年、2万6000に達しているが、その57%はIT部門以外のリーダーによって推進され、やはり半数はパートナー経由の引き合いだという。

 「われわれはより大きなビジネス機会を求め、ビジネスを変革するさまざまなSmarter Planetソリューションを開発していくとともに、LOBのリーダーたちの言葉を理解し、その課題を理解することに注力していく」とイワタ氏は話す。

Smarter Commerceで英国のオンラインショップが急成長

 IBMはPartnerWorldに合わせ、同社のSmarter Commerceソリューションによってユニークなショッピング体験を実現し、わずか1年足らずで売り上げを3倍に伸ばしたオンラインショップ、LabelSneakの事例も明らかにした。

 英国のLabelSneakは、20代から30代の、いわゆるミレニアル世代でブランドに敏感な男性をターゲットとし、メンズウェアを最大75%ディスカウントするオンラインのアウトレットショップ。CSI Solutionをパートナーに選び、同社のクラウド環境でSmarter Commerceを利用することで顧客に関する理解を急速に深めることができた。ソーシャルメディアに書き込まれる膨大なツイートから顧客の好みを分析、絞り込まれたターゲットのスマートフォンやタブレットに期間限定のオファーを出すなどして売り上げを飛躍的に伸ばしたという。

 これに関連してIBMは、ビッグデータ分析を活用したデジタルマーケティングの市場を拡大すべく、パートナーを対象にクラウドベースのIBM Digital Analyticsテクノロジーを1年間無償で利用できるプログラムも同時に発表した。

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