インフラ基盤を作り込む時代は終わった(2/2 ページ)

» 2013年03月14日 08時00分 公開
[伏見学,ITmedia]
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クラウド環境をオンプレミスにも

 PureSystemsファミリーの中でも、システム基盤整備の観点から注目を集めているのが、PureApplicationである。同製品の特徴は、アプリケーションが最適に動く基盤をはじめから提供できる点にある。システム構築にあたって重要なのはアプリケーションが問題なく稼働することであるが、実はそれを下支えするインフラを組み上げることに労力を割いてしまっている企業が多いという。

 「これまではインフラを作ることが目的になっていた。しかし、そのことにほとんど価値はなく、アプリケーションが動くことが重要なのだ。PureApplicationは、インフラの構成から運用までをすべて自動化するため、ユーザーはアプリケーションの実装だけにフォーカスすればいい」(三戸氏)

 これは、パブリッククラウドの環境をオンプレミスにも持ち込むという発想によるものでもある。「例えば、SaaSを利用する際に、SaaSがどの基盤の上で動いているかを気にするユーザーはいないだろう。あくまでソフトウェアを利用することが目的なのだから。本質的にはこの発想と同じことだ」と三戸氏は話す。

パターンとは

 このようにインフラの構成や運用を自動化するためのエンジンとなるのが、IBMが長年にわたり蓄積してきた専門家の知見やノウハウを集約した「パターン」である。PureApplicationは、アプリケーション、プラットフォーム、インフラという3種類のパターンを提供しており、プラットフォームとインフラについてはあらかじめ製品に組み込まれている。

 アプリケーションに関しては、マーケットプレイス「IBM PureSystems Centre」からIBMおよびパートナー企業が提供するパターンをダウンロードするか、自社で作成したパターンを実装することができる。

 「パターンとは、まさにワークロードを最適化するものだ。ミドルウェアとその構成や運用要件、加えてそれに搭載するアプリケーションまでをパッケージ化して提供する」(三戸氏)

グローバルで柔軟なシステムを構築できる

 発表から間もなく1年を迎えるPureSystems。市場の反応や顧客の関心はどうか。三戸氏によると、ビジネスの俊敏性を重視するような「スピード経営」の企業に受け入れられる傾向にある。既に製造業や流通業での導入実績も出ているという。

 また、新しいワークロードが必要になったときに、単に既存システムの置き換えといった従前通りのやり方ではなく、前向きな新規投資として検討する企業が多いのだという。

 さらに、このたびIBMが発表したPaaS形式のクラウドサービス「IBM SmarterCloud Application Services」も追い風になるだろうと見ている。同サービスもパターンをベースにした技術を実装しているため、PureSystemsとの容易なインテグレーションが可能である。つまり、同じパターンをオンプレミス環境とクラウド環境の双方で共有するため、例えば、海外進出する企業がクラウドを通じて本社に設置しているPureSystemsと同じアプリケーション環境をすぐに構築できるなどのメリットがあるという。

 「海外展開する多くの企業では、IT部門が現地に赴き、製品を調達してシステムを組み上げているのが現状だ。しかも、微妙な環境の違いによってシステム構築がうまくいかないケースも散見されている。PureSystemsとクラウドサービスを活用すれば、グローバルレベルでの柔軟なシステム構築が可能になるのだ」(三戸氏)

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