トランザクション処理と分析処理を統合、日本IBMがDB2最新版を発表

IBMのデータベース管理製品「DB2」の最新バージョンが発表された。初めてカラム型に対応し、データの高速分析が可能になった。

» 2013年04月04日 16時10分 公開
[伏見学,ITmedia]

 日本IBMは4月4日、データベース(DB)管理ソフトウェアの最新版「IBM DB2 V10.5」を発表した。表形式で管理されたデータを行単位で扱う業務処理向けのリレーショナルDB(RDB)機能と、列単位で扱ったデータをメモリ上に展開して高速に分析処理するカラム型インメモリDB機能を組み合わせ、単一の製品として実現した。2013年6月14日に提供を開始する。「RDBは約45年前にIBMが生み出したもの。新製品を皮切りに今後もIBMがDB分野のイノベーションをリードしていく」と、同社 専務執行役員 ソフトウェア事業担当のヴィヴェック・マハジャン氏は意気揚々と語った。

日本IBM 理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長の塚本眞一氏 日本IBM 理事 ソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長の塚本眞一氏

 これまでのDB2はトランザクション処理に特化していたため、基幹系の業務システムからデータを抽出し、それを情報系システムで分析する際には、別途ハードウェアなどを導入する必要があった。新製品は、OLTP(オンライントランザクション処理)とOLAP(オンライン分析処理)がシームレスに連携したことでこれらのデータ処理が一気通貫で行えるようになったほか、ストレージからデータを列単位で取り出し、高圧縮してメモリ上に展開した後、CPUの並列分散処理機能を活用することで高速分析処理を実現する新技術「BLU Acceleration」によって分析の高パフォーマンスも確保した。

 例えば、同社のテストデータによると、レポーティングや分析の時間が8〜25倍スピーディーとなり、ストレージ容量を10分の1に削減した。また、DBの統合によって運用管理負荷が軽減することで、結果的にコストパフォーマンスが向上したという。

 同社 理事でソフトウェア事業 インフォメーション・マネジメント事業部長を務める塚本眞一氏は、「今までDB2はトランザクション用途の印象が強かった。このたび分析系を搭載することでハイブリッド型DBとして生まれ変わったのだ」と強調した。

 インメモリDB市場といえば、「Oracle TimesTen In-Memory Database」や「SAP HANA」といった競合製品がひしめき合う。他社との差別化を図るための事業戦略として、「とりわけ中堅・中小企業や特定用途の企業をターゲットにしていく」と塚本氏は説明した。

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