“ユーザー協働型”による短期開発のススメアプリケーション開発にもっと現場担当者の声を

市場での競争が激しさを増す中、企業がさらに売り上げを伸ばしていくために、積極的に変化を受け入れる企業体質が強く求められている。しかしそこで問題となるのが、ビジネスプロセスの属人化である。いわゆる“プロフェッショナル”に業務を依存することは、将来的なリスクとなるだけでなく、変化を受け入れるための拡張性も損なってしまうことも考えられる。この状況を打開すべく、日本オラクルが提唱するシステム開発のアプローチが“ユーザー協働型開発”だ。

» 2013年04月08日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

ビジネスプロセスの最適化を阻む属人化

 一般に企業では経営目標を基に各部門にミッションが設定され、現場はそれを遂行していく。ビジネスに関するデータや手段は、担当者である「個人」に集約・蓄積されがちで、ノウハウは共有されていないことが多い。業務の流れであるビジネスプロセスも、同様に個人に「属人化」されやすい。特定の人しか扱えないプロセスでは、進捗の把握ができなかったり、途中でボトルネックが発生していても原因の特定がしにくく、日々のビジネスの効率性や品質にも影響を及ぼす。また、いざ引継など他の担当者に作業を依頼する機会があっても、複雑な状況を正確に伝えるのは困難だ。

日本オラクル エンタープライズソリューション統括本部 エンタープライズ・アーキテクト本部 エンタープライズ・アーキテクトの中村秀樹氏

 企業内システムの整備でも、同様の現象を見て取ることができる。IT部門は、複雑なビジネスの状況を把握することが困難で、ユーザー部門の要件を常に正しく理解することに骨を折る。

 日本オラクル エンタープライズソリューション統括本部 エンタープライズ・アーキテクト本部 エンタープライズ・アーキテクトの中村秀樹氏は、「ビジネスがこれほど高度化した結果、グローバル企業と伍して戦うために、全社規模でビジネスをとらえる必要が迫られている。ところが、IT部門は業務を的確に把握し、アプリケーションに反映することに時間が取られているのが実態だ」としている。

BPMを共通言語に推進する「ユーザー協働型開発」

 この状況を打開するために着目したいのが、日本オラクルが提唱する新たな開発手法「ユーザー協働型開発」である。これは数年来脚光を集めているBPMS(ビジネスプロセスマネジメントシステム)を共通言語に、ユーザー部門とIT部門がアプリケーション開発において連携を強化するものだ。では、具体的にはどのようなものなのか。

日本オラクル Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 製品戦略部 担当マネジャーの井上憲氏

 一般にアプリケーション開発では、IT部門がユーザー部門からヒアリングしたプロセスなどを基に要件を定義し、設計し、実装し、テストするという流れがある。こうした手法の一番の問題は、実装がIT部門の担当者に委ねられているところにある。テスト用に作成した画面が万が一、業務側の意向を反映できていなかった場合、当然ながら手戻りが発生し、開発のスケジュールに影響する。またユーザーにとっては、設計段階ではシステムの完成イメージを描きにくく、早い段階から具体的な要件を言葉で伝えることも難しい。

 プロセスを描くための一般的なモデリングツールにも課題はある。日本オラクルのFusion Middleware事業統括本部 製品戦略部でマネジャーを務める井上憲氏は、「多くのモデリングツールは、アプリケーションとしての落とし込みまで配慮が払われていないのが実情だ。アプリケーション設計には、例えば、プロセス間で流れるデータや、担当者が操作する画面インタフェースの定義が欠かせない。そうした要素の不備が、手戻りの原因となり、開発の生産性向上の妨げになっていた」と指摘する。

 これに対して、ユーザー協働型開発の“肝”は、ユーザー部門が画面開発、ルール定義、さらに簡易テストまでも反復的に手掛けることである。狙いは、ユーザーが簡易的なテストまでを前倒しで行うことで手戻りが極小化され、ひいてはアプリケーション開発の短期化につながるということだ。

 これにより、業務部門としては開発初期から自身の業務を的確に反映したアプリケーション開発が実施できると同時に、実業務を反映したプロセスが可視化されることで、自然と属人化を排除していくことに繋ぐことができる。その実現に向けた基盤製品と位置付けられるのが、日本オラクルのBPMS製品「Oracle Business Process Management Suite 11g (以下、Oracle BPM Suite 11g)」である。

使い勝手の良いBPMツールでユーザー主体の開発を

 Oracle BPM Suite 11g は、プロセス設計に加え、Webでの画面定義、ルールの定義、さらに簡易テストというユーザー側が利用する機能、IT部門が開発に必要な機能がすべて提供されている。各機能の操作性も非常に高い。ドラッグ&ドロップによる直感的な操作でのプロセス設計はもちろん、画面設定もいわば部品を配置する感覚で実施できる。

 「Oracle BPM Suite 11gでは、設計したプロセスや画面、ルールなどは共有レポジトリを介して無変換で実行できるため、簡易テスト後の開発期間を大幅に短縮するほか、テストを繰り返すことによる品質向上も実現できる」(中村氏)

 さらにユーザー協働型開発では、要件の詳細が未決定の段階でも開発に乗り出すことが可能なのだという。例えば、簡易テストの結果を基に要件を見直す、いわゆるスパイラルな開発を行うことでさらに要件が明確になり、システムを段階的に拡張させることができるのだ。

Oracle Business Process Management Suite 11gの画面

プロセスの可視化を通じてビジネスの改善を促進

 一方で、ユーザー協働型開発の効果として井上氏が強調するのが、「企業の意識改革の着実な促進」だ。

 「ビジネスプロセスの可視化によって、ビジネスの流れを共有できるようになれば、それを基に業務効率化に向けた議論を確実に進めやすくなる。ビジネスプロセスの可視化は、ビジネスの改善を進めるための第一歩と言える」(井上氏)

 業務改革を進めるにあたっては、業務に変更が加わることを嫌う現場から強い抵抗に遭うことがある。ただし、変更が必要な理由を、ビジネスプロセスを基に明確に示せば、現場の理解もそれだけ得られやすくなる。

 「多くの企業が経営目標として業務改革を掲げながらも、現実には部門内の閉じた活動にとどまっている。その最大の理由は目標が大き過ぎるために、具体策がすぐには思い付かないことである。だが、部門内の課題解決に向けた小さな施策を、他部門と連携してより効果的な施策に磨き上げることで、こうした状況を改善させることも可能だ」(中村氏)

 また、こうした組織改革の旗振り役として期待を寄せたいのがIT部門だ。

 「ビジネスプロセスが可視化されると、IT部門がプロセスを見る文化が醸成されるようになる。業務の改善を実現するためのシステムを短期間で提供し、経営目標を基にしたKPIを達成できるようになれば、社内でのプレゼンスを向上させることにもつながる」(中村氏)

 ユーザー部門とIT部門が両輪となり、ビジネスプロセスを基にしたコミュニケーションを図り、アプリケーションの短期間での開発と品質の向上を推進する。この取り組みが広がることでアプリケーション開発のみならず、企業活動のあり方も大きく変わることになりそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2013年5月12日