Apple決算、10年ぶりの減益だが予測は上回る 株主還元策も発表

Appleの1〜3月期の決算は、売上高は11%増で、純利益がここ10年で初めて前年同期比減(18%減)となったが、アナリスト予測は上回った。低価格に設定したiPad miniや値下げして販売しているiPhone 4などの影響で粗利率が下がったとしている。

» 2013年04月24日 07時11分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米Appleが4月23日(現地時間)に発表した第2四半期(1〜3月)決算は、純利益が10年ぶりの減益となった。売上高は前年同期比11%増の436億300万ドル、純利益は18%減の95億4700万ドル(1株当たり10.09ドル)だった。売上高、1株当たり純利益ともに、Thomson Reutersがまとめたアナリスト予測(売上高が423億ドル、1株当たり純利益が9.98ドル)を上回った。

 粗利益率が37.5%で前年同期の47.4%を大きく下回った。ピーター・オッペンハイマーCFO(最高財務責任者)は電話会見で、戦略的な価格設定にしたiPad miniを含むiPadの売り上げが予想以上に多かったこととiPhone 4の値下げ販売を理由として挙げた。

 iPhoneの販売台数は前年同期比7%増の3743万台で、売上高は229億5500万ドル。iPadの販売台数は65%増の1948万台で、売上高は87億4600万ドルだった。iPadの中国と日本での販売台数は倍増した。

 Macの販売台数は2%減の395万台で売上高は54億4700万ドルだった。

 iPodの販売台数は27%減の563万台で売上高は9億6200万ドル。iTunes StoreやiBookstoreなどでの売り上げは30%増の41億1400万ドルだった。App Storeからの累計ダウンロード数は450億本を突破した。iCloudのアカウント数は3億件を超えた。

 売上高を地域別でみると、アメリカが7%増の140億5200万ドル、欧州が11%増の98億ドル、中国(香港と台湾を含む)は8%増の82億1300万ドル、日本は19%増の31億3500万ドル、中国と日本を除くアジア太平洋地域が27%増の31億6200万ドル、直営店経由が19%増の52億4100万ドルだった。

 4〜6月期の見通しについては、売上高を335億〜355億ドル、粗利益率を36〜37%と予測した。

 ティム・クックCEOは発表文で、「すばらしい新ハードウェア、ソフトウェア、サービスを提供するためにわれわれのチームは懸命に働いている」と語った。

 Appleは同日、注目されていた株主還元策も発表した。同社は昨年3月に配当の開始と自社株買い戻しで向こう3年間で約450億ドルを株主に還元すると発表している。今回の発表では、新たに550億ドルを追加し、合計で1000億ドルを還元するとした。自社株買いは、6倍の600億ドルに増額する。同社は5月16日に予定している株主配当を15%増額し、3.05ドルとする。

 業績発表後の電話会見で、大画面iPhoneの可能性について尋ねられたティム・クックCEOは、現行より大きなディスプレイのiPhoneを発売する予定はないと答えた。また、新製品については、秋から来年にかけて多数の新製品をリリースするとし、新しいカテゴリーの製品は年内には出ないと語った。同社は腕時計型のウェアラブルコンピュータを開発中とうわさされている。

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