スマートフォンとタブレットのBYOD
個人所有機器をVDI端末として使用する際のルールについては前回ご紹介した。スマートフォンは、画面サイズが小さいので実用上はVDI端末として使用されず、メールの閲覧や発信、カレンダーの確認などが主になると想定した。そこで、スマートフォンのBYODについて、次の4点を基本方針として定めた。
セキュリティポリシーの適用や紛失時のリモートワイプなど、BYOD利用者に負担はかかるが、現在リーダークラス以上を中心に270人、社員の約3分の1が申請し、個人所有のスマートフォンやタブレットでGoogle Appsと同期を行っている。想定していたよりも、利用者は多い。筆者も利用しているが、とても便利だ。
また、セキュリティの条件を満たすのは面倒だが、対策自体には十分に納得感がある。なにしろ、筆者のスマートフォンには大切な家族や友人の個人情報が入っている。紛失や盗難に対応することは当然のことだ。
フリーアドレスとコラボレーションエリア
クオリカの新本社のオフィスでは、座席をフリーアドレスにした。コスト削減のために席数を削減したわけでは無く、新本社勤務の人数分の座席は設置してある。
各座席には共用の24インチディスプレイとゼロクライアントのVDI端末を設置した。また、セキュリティや環境ECO、生産性などから、デスクの引出しや、デスクサイドの文書キャビネは設置しないことにした(写真2参照)。こうすると、社員はどの座席に座っても同じように仕事ができる。結果的に「社員は特定の座席に座る必要性がなくなった」というのが実態だ。
原則として、社員はどこに座ってもよいことにしている。その他の事業所の社員が立ち寄った時も同様だ。ただし、同じ部やチームのメンバの近くに座る方が、コミュニケーションが容易で仕事がやり易いため、大まかに事業部や部、チームなどの着座エリアを決めている。
新オフィスでは会議室、応接室、研修室などの他に「コラボレーションエリア」を設けた。打合わせが必要な時、空いていれば何時でも打合せができるエリアだ(図3)。
オフィスの中央部と窓際に12ブース分のスペースを設け(写真3および4参照)、(1)6人程度が打合せできるテーブル、(2)42インチか24インチの高精細ディスプレイ付VDI端末、(3)ホワイトボード――からなる3点セットを配置した。もちろん、テレビ会議やWeb会議もできる。ホワイトボードの内容は、参加者がスマートフォンで撮影し、メールでアップして共有する。
社員からはとても好評で、利用率も高い。移転前に比べ、予約制の会議室などと合わせたコミュニケーションスペースは倍増した。課題の検討や意思決定の迅速化を期待している。
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