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» 2013年04月30日 14時15分 UPDATE

IBM Impact 2013 Report:Fordの走るデータセンター? モバイルで顧客体験を変革へ (1/2)

ラスベガスで開幕した「IBM Impact 2013」には8000人を超える顧客らが集まった。初日のジェネラルセッションには単にエンジンの性能や走りを追及するメカニカルな思考から脱し、モビリティで顧客との緊密なつながりに新たな可能性を見出そうとしているFordが登場した。

[浅井英二,ITmedia]
venetian.jpg Impact 2013の会場となったベネチアンホテルにはゴンドラが浮かぶ船着き場や水路までつくられている(上)。Fordのビジェイ・サンカラン氏(左)とIBMのルブラン氏

 「これはもう走るデータセンターだ」── 派手にスモークがたかれたラスベガスのステージに、すぐにFordのそれと分かる特徴的な面構えの「Fusion」がゆっくりとせり出してきた。70のマイクロプロセッサで1600万行のコードが稼働、センサーの数も何百に上るという。もちろん、車載システムがネットワークに接続し、さまざまなデータもやり取りする。

 「われわれは創業から110年の歴史ある自動車メーカーだが、今やソフトウェアエンジニアリングへと大きく舵を切り始めている」と話すのは、Ford Motorでアプリケーション開発ディレクターを務めるビジェイ・サンカラン氏だ。

 日本がゴールデンウイークに入った4月29日、ネバダ州ラスベガスでは、WebSphereユーザーのための年次カンファレンス「IBM Impact 2013」が開幕、会場となったベネチアンホテルのボールルームには8000人を超える顧客やパートナーが集まった。初日となったこの日のテーマは、「Business. In Motion.」(ビジネスに機動力を)。モバイル、ソーシャル、ビッグデータ、そしてクラウドというITの大きな潮流は、企業に新たなビジネス機会をもたらそうとしている。

 IBMでミドルウェアを統括するロバート・ルブラン上級副社長は、単にエンジンの性能や走りを追及するメカニカルな思考から脱し、顧客との緊密なつながりに新たな可能性を見出そうとしているFordをジェネラルセッションのトップバッターとして招き上げ、「走るデータセンター」で参加者の度肝を抜いた。

顧客が求めるサービスは何か?

 Fordはここ数年、同じラスベガスで行われているInternational CES(Consumer Electronics Show)の常連だ。2009年には、Microsoftとともに基調講演に登場、共同で車載システム「Ford Sync」を開発していることを明らかにし、話題をさらったのも記憶に新しい。いわゆる「テレマティクス」では、トヨタ、日産、ホンダという日本メーカーがカーナビゲーションにネットワーク接続機能を組み込む形で先行してきたが、異なる業界のパートナーと手を組むのは、やはり米国流だ。

 Ford Syncは、BluetoothでAndroidやiOSのスマートフォンと「同期」することで機能が広がる車載システム。ハンズフリーで電話を掛けられるだけでなく、クラウド上の音楽を再生したり、スマートフォンに届いたメールを読み上げてもらうこともできるという。Ford Syncとスマートフォンアプリが連携できるようにするためのSDK「Sync AppLink」を提供してきたほか、今年1月のCESでは開発者向けのプログラムまでぶち上げ、ニュースや音楽はもちろん、位置情報を活用したナビゲーションまで、ボイスコマンドで連携できるアプリケーションの拡充を図っている。

 「Fordにはイノベーションの企業文化がある。ドライバーの求めているサービスは何か? 安全性はもちろんのこと、パーソナライズされた顧客体験を提供し、得られた洞察でより良い関係を築きたい」とサンカラン氏。

 サンカラン氏によれば、Fordは自社の既存システムとの接続基盤としてWebSphereを、また、開発基盤としてRationalも導入しているが、モバイルアプリケーションのための基盤であるWorklightも活用している。

 「サービスの機会はエンタテインメントだけに限らない。社内コンテストを実施したところ、インドのチームから運転中の発作を検知したら安全に車を停止させるサービスのアイデアが出てきた。現在、たくさんのアイデアをWorklightで概念実証しているところだ」(サンカラン氏)

 機械からソフトウェアへ思考を切り替えることでFordの前にはさらに大きな可能性が広がってくる。

 「将来、アジアの大都市では渋滞もさることながら駐車場を探すのにも苦労する。駅まで車で行き、トラムや電車に乗り継ぐという複数の移動手段を組み合わせことになるだろうし、カーシェアリングの需要も高まってくる。車をプラットフォームとしてどう活用するのか? ディーラーやパートナーを巻き込み、企業を挙げてビジネスを変えていかなければならない」とサンカラン氏は話す。

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