PaaSはロックインが常識? TOSCA標準で実現近づくクラウドの相互運用性(2/2 ページ)

» 2013年05月14日 08時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
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TOSCA標準仕様で「PaaSはロックイン」は早晩過去のものに

OASIS TOSCAとOpenStackが連携して実現する新しいPaaSの世界。IBMでは開発ツールの連携も不可欠と考えており、OSLCも併せて推進する(クリックで拡大)

 同社が選択したのはオープンスタンダードの推進だった。2009年3月にオープンなクラウドコンピューティングを目指すベンダーらと相互運用性の確保に着手、この3月中旬にOASISの「TOSCA」(Topology and Orchestration Specification for Cloud Applications)標準仕様として実を結んだ。TOSCAは、XMLによってシステムの構成情報や運用ポリシーを「サービステンプレート」として記述し、パブリック/プライベートを問わず、TOSCAに対応したさまざまなPaaSにデプロイできるようにする。

 一方、PaaSをインフラとして支える「Compute」「Network」、および「Storage」の各種クラウドリソースの領域でも標準APIで操作・管理できる「OpenStack」をIBMは推進する。いわゆるオープンソースベースのIaaS標準化の取り組みだ。同社は昨年、OpenStack Foundationに主要スポンサーとして参画し、この3月には、すべてのクラウドサービスと製品をOpenStackベースにすることを明らかにした。

 これらOpenStackとTOSCAという2つのレイヤ、つまりIaaSとPaaSのオープンスタンダードを組み合わせることで見えてくるのが、複数サーバで構成されるアプリケーションを、パブリック/プライベート問わず、さまざまなクラウド環境に移行できる世界だ。

 「IBMでは、開発のライフサイクル全体におけるツールの相互運用性、ツール間のデータ連携も欠かせないと考え、この領域の標準としてOSLC(Open Services for Lifecycle Collaboration)にも取り組んでいる」と紫関氏。

 企業にとってのクラウドは、その恩恵の大きさから言ってもPaaSが本命だろう。TOSCAの取り組みにクラウドの巨人であるAmazonやMicrosoftが参画していないのが気がかりだが、「PaaSはベンダーにロックインされてしまう」という常識は早晩過去のものになりそうだ。

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