セキュリティ対策とコンプライアンス管理の一元化を目指す、nCircle買収のTripwireMaker's Voice

脆弱性管理製品ベンダーのnCircleを買収したTripwireの日本法人トリップワイヤ・ジャパンは、nCircle製品の日本での提供を開始する。

» 2013年06月10日 14時00分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 システムの変更管理や改ざん検知などのコンプライアンス管理製品を手掛ける米Tripwireは、今年3月に脆弱性管理製品を手掛けるnCircleを買収した。これを受けて、トリップワイヤ・ジャパンがnCircleの脆弱性管理スイート「nCircle Suite360」の国内提供を7〜9月期に開始する。

 nCircle Suite360は、企業でのセキュリティ対策診断やシステムの脆弱性検査などを手掛ける専門ツールで定評ある製品。エージェントレス型であるため、ミッションクリティカルシステムや組み込み機器など、通常ではセキュリティ検査が難しいシステムにも対応できる点が特徴という。

Tripwireのワールドワイドセールス担当バイスプレジデントのガス・マレジス氏

 Tripwireのワールドワイドセールス担当バイスプレジデントのガス・マレジス氏は、買収の背景について「これまでセキュリティ管理とコンプライアンス管理はそれぞれに運用されてきた。だが、日本でも数年前にメーカーに対するサイバー攻撃から情報漏えいが発生し、事業継続が困難になる事件が起きたように、セキュリティとコンプライアンスを一体的に取り組む必要性が高まっている」と説明する。

 両社の製品が一体的になることで、オンプレミスやクラウド、仮想・物理といったあらゆるシステム環境における整合性監視やセキュリティ管理、イベント管理、脆弱性管理などが包括的に実施できるようになるという。製品統合などのロードマップは検討中としながら、マレジス氏は「CEOなどのビジネスサイドが容易に自社の状況を把握できるレポートの提供など、セキュリティとコンプライアンスの可視性をさらに高める機能を実現していく」としている。

 国内向けに、既存の両社パートナーに対するセールスやマーケティング、トレーニングなどの支援策を強化するほか、トリップワイヤ・ジャパンの体制強化も図る予定。製品面ではnCircle Suite360の脆弱性・リスク管理機能をクラウドサービスで提供する「PureCloud」で日本語化を終えており、その他製品でのローカライズも検討していくという。

nCircle PureCloudのレポート画面

 マレジス氏は、「今や企業では自社ネットワークでは無い領域にも多種多様なIT資産を保有しており、管理が難しくなっている。こうした資産の適切な管理と可視性の向上を支援していきたい」と話す。

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