“社内記者”として第三の視点を 日本マイクロソフト・宮田麻子さん企業広報の「隠れ家でちょっと一息」(2/3 ページ)

» 2013年07月05日 15時00分 公開
[聞き手:編集部,ITmedia]

“社内記者”として一隅を照らす

――PRの仕事をする上で心掛けていることはありますか。

 物事を客観視できる、第三者の視点を持てるかどうかが重要です。私はよく企業のPR担当は“社内記者”のような存在だと思っています。

 例えば、ある新サービスがリリースされたとしましょう。担当者側は自分たちが生み出したサービスをよりよい形で世に広めたい。それぞれが各製品やサービスに対してのパッションや想いがある。それらをいったん、情報を受け取る側の立場で考えてみる。果たしてそのサービスにニュースバリューがあるのか、市場が有益に思ってくれるのかどうかを、絶対的価値と相対的価値で判断する必要があります。PRはコンテキスト(文脈)が重要です。社会的問題や情勢、ニーズなども踏まえて内部と外部の双方の視点からストーリーを展開していくことを心掛けています。

 加えて、自らが積極的にPRのための情報を見つけに行くべきだと考えています。料理と同じで、ネタが良ければもちろん良いものが作れますが、創意工夫で素材以上の魅力を引き出すこともできますよね。“一隅を照らす”という表現がありますが、さまざまな角度から情報を見つけ出し、受け手にとって有益なコミュニケーションをしていくことを目指しています。

――ところで、なぜPRの仕事を選んだのですか。

 米国の大学時代に「コミュニケーション学」を専攻して興味を持ちました。PR論やメディア論は日本よりも米国の方が進んでいて、理論を学ぶいい経験になりました。日本ではPR(パブリックリレーション)は広報もしくはパブリシティといった狭義の解釈がまだ見受けられますが、コーポレートコミュニケーションとマーケティングコミュニケーションを包含するより広義なものへと発展しつつあると感じています。

IT×日本文化

――オフはどのような過ごし方をされているのでしょうか。

 月に2回は茶道のお稽古事です。習い始めてからもう20年が経ちました。きっかけは、米国にいたときに、自国の文化や歴史への再認識をしたことがきっかけです。もともと伝統文化への興味があったこと、それと和菓子好きも高じてです。

 茶道を通じて、季節の移り変わりを実感できるところが魅力の1つです。季節ごとに活ける花や扱う道具も変わりますし、何より非日常的な空間や時間の流れを通じて、仕事や日常生活とのバランスを保っているのかもしれません。そのうちに草花にもより興味が沸いてきて、今では何気ない日常風景の中に季節を感じられるようになり、散歩が楽しくなりました。

 あとは、オフの日には神保町や日本橋界隈をよく散策していますね。岩波ホールで映画を観たり、古い商店建築やクラシックビルを眺めたりと。

――それで今回のお店は「ろしあ亭」なんですね。

深紅色が美しい名物・ボルシチ 深紅色が美しい名物・ボルシチ

 もともと高校・大学と神保町に通っていたので、この街は昔からなじみがあるんですよ。ただ、在学当時は渋すぎて良さがあまり分かりませんでしたが(笑)。卒業してから神保町が好きになりました。老舗や古本屋街、喫茶店、定食屋などの変わらない部分と新しいお店が交じり合いますます魅力的な街です。

 ろしあ亭は、休日に都バスに乗って映画を見た後、その帰りにランチで来ることが多いです。

 お薦めの料理は「ボルシチ」です。ロシア料理の定番ですが、たっぷりの野菜に酸味のあるスープが後を引く美味しさです。テーブルビートによる鮮やかな深紅色にも目を奪われます。

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