ビジネス活用を実現するためのスマートデバイス導入のポイントは?ITmedia エンタープライズ ソリューションセミナー レポート(2/2 ページ)

» 2013年07月08日 11時00分 公開
[ITmedia]
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スマートデバイス管理の注目事例

日立製作所 PFビジネス本部 サービスビジネス推進部 主任技師 高山ひろみ氏

 日立製作所によるセッション「スマートデバイス管理の勘所」ではPFビジネス本部 サービスビジネス推進部 主任技師の高山ひろみ氏が、適用事例を交えてMDMの利用ポイントを解説した。

 携帯性やネットワークへの接続性といったスマートデバイスのメリットを生かすには、正しく安全に使うことが重要であり、そのためにMDMが存在する。MDMではセキュリティ管理とPCと同様の資産管理を備えていることが大切だという。これを利用しなければ、情報漏えいや不正使用といったトラブルを招いてしまう。

 MDMの適用事例として、ある教育サービス企業ではタブレットによる依頼講習を可能にするためにMDMで管理を行い、案件の獲得増につながった。また、別の企業ではスマートフォンを内線端末として活用するために、マルチデバイスに対応したMDMを導入して1万台のスマートフォンを管理し、通信コストを削減した。店頭での販売、接客にタブレットを利用する企業でもMDMでセキュリティ対策を講じ、業務アプリも活用。顧客を待たせないなどのCSの向上を実現した。

 同社ではMDMのクラウドサービスを提供しており、マルチデバイスに対応して初期費用がかからないほか、同社のIT資産管理製品「JP1」とも連携できるなど、スマートデバイスの円滑な導入・運用をサポートしているという。

「シャドーIT」を排除せよ

ソリトンシステムズ プロダクトマーケティング部 プロダクトマネージャ 宮崎洋二氏

 ソリトンシステムズによるセッション「BYODを本気で検討するための必須条件」ではプロダクトマーケティング部 プロダクトマネージャの宮崎洋二氏が、スマートデバイス活用を妨げる「シャドーIT」の問題を取り上げた。

 同氏によると「シャドーIT」とは、企業の管理下に無いIT機器を指す。スマートフォンやタブレット端末の人気ぶりを背景に、既に個人所有のシャドーITの機器が企業の中に広がり始めている。企業がスマートデバイスをこれから活用しようと検討する矢先に、シャドーITの存在がそれを困難にさせてしまうという。

 スマートデバイスを安全に活用する環境を整備するには、まずシャドーITを社内から排除する必要がある。とはいえ、もともと管理されていない端末であるだけに、その把握すらも難しい。

 そこで宮崎氏は、認証によってシャドーITの端末を排除する仕組みを勧める。ただし、従来のIDとパスワードによる認証ではユーザーがそれを知っているので、シャドーITの機器でアクセスできてしまう。宮崎氏が推奨するのは、デジタル証明書を使った端末認証である。企業が発行したデジタル証明書をインストールしている端末だけをアクセスできるようにすれば、シャドーITの端末からはアクセスできない。

 同社ではこのための認証アプライアンスを提供。導入設定や運用の手間が少ないのが特徴だとしている。

このセッションに興味のある方にはこちらのホワイトペーパーがおすすめです。

BYODを本気で検討するための必須条件 〜MDMでは対処不能!? 氾濫する「シャドーIT」を食い止める〜

スマートデバイスをビジネスに積極活用したいと考える企業は多いだろう。その妨げとなるのが「シャドーIT」のリスクだ。どうすればリスクを排除できるのか?マートデバイス活用のために必須となる条件を紹介する。

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PCが無い場所でペーパーレス化

ファイルメーカー マーケティング部シニアマネージャー 荒地暁氏

 ファイルメーカーによるセッション「iPadやiPhone向けビジネスソリューションの作成&展開の迅速な方法」ではマーケティング部シニアマネージャーの荒地暁氏が、iPadやiPhoneに対応したFileMakerによる業務アプリケーションの導入効果や、ファイル編集の様子を紹介した。

 荒地氏によると、FileMakerの導入企業は数万社におよぶ。日経平均株価の指定銘柄となっている225社の上場企業のうち188社も採用するほどの実績で、業務効率化からペーパーレス化までさまざまな導入効果を実現しているという。

「通常の業務環境のみならず、建設現場や工場のようにPCの持ち込みが難しい場所で、iPadとFileMakerを利用している企業も多い」とのこと。FileMakerの情報をiPadやiPhoneで利用するためのアプリ「FileMaker Go」のダウンロード数は公開後数カ月で50万件を上回る状況になっている。

 例えば、石川県金沢市の食品卸業の企業ではこれまで紙伝票をPCに入力する処理を行っていたが、これをiPadとFileMakerでリアルタイムに処理するシステムを構築。PC操作に慣れていない社員でもスムーズに扱えようになり、データの処理作業が効率化された。システムの導入コストは180万円だったが、コスト削減効果は400万円になり、導入から1年も経たずに投資を回収できたという。

 ファイル編集のデモンストレーションではiPadに最適化したデザインテンプレートを活用して、FileMaker ProでiPad向けにも簡単に編集できる様子を披露した。

BYODも可能にする「セキュアコンテナ」

ソリトンシステムズ Mobile & Cloudタスクフォース 営業&マーケティング2部 部長 山本裕之氏

 ソリトンシステムズによるもう1つのセッションではMobile & Cloudタスクフォース 営業&マーケティング2部 部長の山本裕之氏が「セキュアコンテナ」を解説した。先の宮崎氏のセッションがスマートデバイス活用の入口におけるソリューション、山本氏のセッションは実際の活用フェーズにおけるソリューションになるという。

 セキュアコンテナとは、スマートデバイスのOSの上に会社専用の安全な領域を確保するというもの。暗号化などの強固なセキュリティ対策を講じた専用アプリの中に業務に必要な機能やデータを格納し、社内システムとは暗号化通信による専用サービスを介して接続する仕組みだ。

 同社ではセキュアコンテナによるDMEというサービスの提供をこのほど開始した。セキュアコンテナの中ではNote/DominoやExchangeと連携してメールのやり取りやスケジュール管理、ビジネスアプリなどが利用できるという。

 またDMEでは外部アプリとは連携させないため、例えば、メールの内容をコピーするような操作も不可能だ。万一端末を紛失した場合、会社支給の端末ではリモート操作で初期化、個人所有の端末ならセキュアコンテナのアプリだけを消去することで情報漏えいを防ぐようにしている。これによって端末の導入形態を問わず、安全にスマートデバイスを活用していけるという。

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