日本オラクル、統合マシンの新モデル「SuperCluster T5-8」を発表

4月発表のSPARC T5サーバやExadataおよびZFSストレージ、管理ソフトウェアなどを1つに統合した新製品の出荷を開始した。

» 2013年07月08日 16時06分 公開
[國谷武史,ITmedia]
SuperCluster T5-8

 日本オラクルは7月8日、同社のエンジニアド・システムズ製品の新モデルとなる「Oracle SuperCluster T5-8」を発表、同日から出荷を開始した。併せて、同社の2014年事業年度のハードウェア製品戦略も発表した。

 Oracle SuperCluster T5-8は、2011年に発売した統合型システム「SPARC SuperCluster T4-4」の後継製品となるもの。今年4月に発表した「SPARC T5」サーバと、「Oracle Exadata Storage Server」「Sun ZFS Storage 7320 Appliance」、40GbpsのInfiniBandスイッチなどのハードウェアおよび「Oracle Solaris 11」や「Oracle VM Server for SPARC」などのソフトウェアで構成される。SuperCluster T4-4に比べ、性能を2.5倍に向上させたとしている。

 ハードウェア面ではSPARC T5サーバの上位機種「SPARC T5-8」2台を収容し、ストレージはExadata Storage Serverが288テラバイト、ZFS Storage 7320 Applianceが60テラバイトとなる。16.8テラバイトのFlash Cacheも搭載し、Oracle Databaseの高速化をサポートする。単一障害点を排除した設計を採用し、特に仮想化では2つの階層化によるオーバーヘッドの無い高可用性を確保した。同社やSAP、SASの業務アプリケーションでの稼働を事前検証した「Oracle Optimized Solutions」も提供する。ハードウェアの最小構成による販売価格は6467万4000円(税別)となる。

 また、2014事業年度のハードウェア製品戦略について記者会見した執行役員 システム事業統括の飯尾光國氏は、(1)競合他社からのシェア獲得、(2)「Oracle on Oracle」の価値訴求、(3)オラクルハードウェアのインストールベースの刷新――を挙げた。

執行役員 システム事業統括 飯尾光國氏

 (1)では競合ベンダーの同等製品における価格対性能比の高さを競争優位点として打ち出す。今回の新製品では性能で同等ながら約10分の1という価格メリットを企業に訴求する。(2)では同社のソフトウェア製品を最適に動作させるハードウェア設計が(1)の価格対性能比や高い信頼性を実現するとし、今回の新製品のその第一弾になると説明している。

 (3)では(1)および(2)で挙げた製品の優位性をパートナーと連携して市場に展開し、顧客での導入支援もサポートしていくと強調する。そのための施策として、同社本社へ新たに検証センターの「オラクル・ソリューション・センター」を開設。この施設は、最新鋭の電源・空調設備や同社製品を設け、パートナー企業や顧客企業が事前検証などを行える。また、ExadataとZFS Storage Appliance、SPARCサーバとオラクルのビジネスインテリジェンス製品に関する2つの新しい検証メニューも用意した。

 飯尾氏によれば、SPARC T5サーバの出荷は世界的に好調であるとし、国内では三井住友海上あいおい生命がファーストユーザーとして、生命保険契約者情報管理システムにプライベートクラウド化にSPARC T5サーバの採用を決定したという。

 三井住友海上あいおい生命での導入ついては、同社グループの情報システム会社のMS&AD システムズ 生保ITサービス部 MSA基盤グループ マネージャーの原淳史郎氏が説明した。

 今回のプロジェクトは、将来の契約件数の増加とそれに見合う処理能力の確保、論理/物理の障害に対応できる可用性、プライベートクラウド型の集約基盤の構築が目的となる。SPARC T5サーバの採用理由は、将来における処理性能を事前検証で確認できたこと、オラクルの推奨構成で99.9999%の可用性を確保できること、同一ベンダーによる安心感やコストメリット、事業拡大に容易に対応できるシステムの拡張性だったという。

三井住友海上あいおい生命が導入するシステムの構成

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