プライベートクラウドが多様化、DCサービスの需要増も――IDC調査

IDC Japanは、国内のクラウドユーザー動向に関する調査結果を発表した。

» 2013年07月08日 16時20分 公開
[ITmedia]

 IDC Japanは7月8日、今年4月に実施したユーザー動向調査「2013年 国内クラウド調査」の結果を発表した。これによると、国内企業におけるクラウドの認知度、利用/導入率は堅調な増加を示している。

 クラウドの利用、検討状況において、昨年4月に実施した調査では「検討したが利用しない」と回答する企業の割合が26.5%に上り、2011年5月の調査の6.8%から大幅に増加していた。これは東日本大震災の影響で、IT-BCP(ITの災害対策を含めた事業継続強化)を実現するために、高い注目を集めるクラウドをにわかに検討したものの、技術的/管理的な課題によって短期間ではクラウドの利用/導入ができないと判断する企業が多かったことが背景にある。

 一方、2013年の今回の調査では「検討したが利用しない」との回答が7.8%へ大幅に減少している。「興味があり、情報を収集中」の回答は23.1%に増加した。このことは、ユーザーがクラウドの課題を理解した上で、情報を収集するケースの増加を表しており、今後のクラウド市場の成長を促進する要因となっている。

パブリッククラウドの利用検討状況、2011年〜2013年(出典:IDC Japan)

 プライベートクラウドは、ユーザー企業内に自らの資産として構築することが、一般的な導入形態として考えられてきた。近年、「ホスティング型プライベートクラウド」として、ベンダーが所有するIT資産を活用し、ユーザー専有のクラウド環境をサービスとして提供する形態の発展がみられるという。また、ベンダーのクラウド環境の構築/運用のノウハウ、高い堅牢性に対する期待から事業者のデータセンター(データセンターサービス)への需要も高まっている。プライベートクラウドであっても、その構築形態は多様化の傾向にあるという。

 現在、一部の先駆的な企業は、クラウドを活用して新しいビジネスを開拓しているが、多くの企業は、クラウドは既存システムを効率化するための手法として考えているようだ。企業のIT支出に関わる意識を「守り(削減による経営の効率化)」から「攻め(投資による事業拡大)」に変化させることは容易ではないと同社はみる。

 IDC JapanのITサービス リサーチマネージャー 松本聡氏は、「ベンダーは『顧客志向によるソリューションの強化』『技術志向によるプラットフォームの強化』といった施策を積極的に進めることによって顧客の意識変化を促すことが重要である」とコメントしている。

プライベートクラウドの構築形態、2013年(出典:IDC Japan)

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