国内企業はストレージ専任の運用技術者が少なく、他のインフラとの兼任が多い――IDC調査

IDC Japanは、国内企業のストレージ管理者のプロファイルを分析した「管理者のマインドセットと運用組織体制の変化の方向性」を発表した。

» 2013年07月22日 15時47分 公開
[ITmedia]

 IDC Japanは7月22日、「2013年 国内ストレージ管理者プロファイル分析:管理者のマインドセットと運用組織体制の変化の方向性」という調査レポート発表した。国内ユーザー企業で行われているストレージの管理運用プロセスと人員体制、および運用技術者のマインドセットをWebアンケートとデプスインタビューを用いて調査している。

 これによると、国内のストレージ管理体制について、米国企業との違いとしていわれることの多い「国内企業ではストレージの専任運用技術者は少なく、他のインフラとの兼任が多い」という定評については、企業規模別に定量的な割合が確認できたという。さらに、ストレージプール構築などによりインフラが水平統合された場合でも、専任運用技術者が増えると考えている企業はほとんどないことも分かった。多くのユーザー企業は、ストレージ運用をストレージ専門知識がそれほど高くない技術者に分散することで運用負荷の増大に備えようとしていることが明らかになっている。

 この兼業の体制、つまりストレージ以外にもサーバ、ネットワーク、場合によってはミドルウエアやアプリケーションを同時に運用管理している状況は、ストレージの新技術の導入に対する積極性に影響をもたらしているという。個々の運用技術者はそれぞれ責任範囲の中で優先順位を考慮しながら運用の改革にあたっており、必ずしもストレージ運用の最適化に対して関心が高いとはいえない。ストレージ仮想化やシンプロビジョニング、重複排除などの新技術の導入効果を把握しているとはいえない状況だとしている。

 こうした新技術の導入に活発ではない状況を変えるためには、今回の調査の中から有効とみられる要素として「効果を可視化するツール(ソフトウェア)」ことが浮かび上がってきた。「可視化ツールによって成果が明らかになるのであればテクノロジー導入への取り組みが変わる」との回答が4割を超えており、成果確認が可能であることをユーザーに理解してもらうことで導入意欲の向上に寄与することが明らかになっている。

 ストレージシステムズ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は、「ユーザー企業におけるストレージの管理運用は、高度な専門技術をもつスペシャリストによるものと、ストレージ以外の多くのIT運用を兼任する技術者が行うものの二通りがある。大企業は前者を組織内に配置することを志向しており、中堅、中小企業は後者を選ぶ傾向が強い。製品を提供するベンダーは、自社のターゲット顧客層にどちらのタイプが多いかを把握し、適切なストレージ管理ツールを開発、提供していく必要がある」とコメントしている。

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