富士通研究所、準同型暗号の高速化技術を開発

データを暗号化したまま統計計算や生体認証などを可能にする準同型暗号の処理性能を、約2000倍に高速化させることができるという。

» 2013年08月28日 14時22分 公開
[ITmedia]

 富士通研究所は8月28日、データを暗号化したまま統計計算や生体認証などを可能にする準同型暗号の処理性能を約2000倍に高速化する技術を開発したと発表した。生体認証情報などを暗号化したままで、迅速に認証できるといったことが可能になるという。

 準同型暗号はデータを暗号化したままで、加算や乗算などの演算が可能な技術。近年はクラウド環境などでのデータ保護の必要性から、データを暗号化したままで演算処理ができる必要性が高まっている。ここで準同型暗号の活用が期待されているものの、従来の準同型暗号はビット単位で暗号化を行うため処理時間が長く、実用性が低いとされていた。

 富士通研究所が開発した技術では2つの平文を暗号化する際に多項式の掛け算が持つ特性を利用し、1つを昇順に、もう1つを降順にビット列を並びかえ、それぞれを多項式に変換する。暗号化したままでビット列の内積の一括計算を実現した。これにより、例えば、2048ビットのデータを用いた場合に、2048倍の高速処理が可能になるといった、ビット長に比例する処理時間の短縮に成功したという。また、実用的な秘匿演算の機能も実現しているという。

一括暗号化および内積計算による処理時間の高速化

 将来的には、情報量の多い生体情報を暗号化したまま安全に照合して迅速に認証するなどの活用が期待される。富士通研究所では2015年の実用化を目標に、実証実験などを進めることにしている。

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