パスワードや暗証番号の作り方と未来予想図萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/3 ページ)

» 2013年08月30日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]

その他の小技

 せっかくなので、暗証番号やパスワードの作成以外についても触れておきたい。

ID

 IDによく使われるメールアドレスは、フリーアドレスを使う方が安全だが、利用できないWebサイトやサービスもあるので注意する。アドレスを全て異なるものにするのも良い。「使い捨てアドレス」を準備するのが面倒なら、Gmailなどを使い分けるとスマートかもしれない。

例:*****@gmail.com

  • サイトAでのID登録 *****+a@gmail.com
  • サイトBでのID登録 *****+b@gmail.com

 Gmailでは「+」以降の文字列を無視するので、Webサイトの登録IDに個別アドレスを使えば、リスト攻撃を防ぐ手立てになる。

秘密の質問

 パスワードを忘れた時に利用される「秘密の質問」。これも曲者だろう。最近の犯罪の中で、人間が操作をしてクラックする際に「秘密の質問」がよく使われているからだ。例えば「母方の姓は?」という質問を選択したら、まともに「山田」という回答を用意するのではなく、全く関係の無い「富士山は素晴らしい」という回答にしておく。ただ、実名登録などの場合に他人の名前を使うのは逸脱行為である。

カードの登録

 初めてインターネットでクレジットカードを登録するなら、せめてメインのカードは避け、ほとんど使っていない、いつでも解約可能なカードにしておく。仕事関係で仕方なく作成したようなクレジットカードが複数枚あるなら、それぞれ登録に使う。ただ、バラバラに使うとポイントサービスの恩恵を受けられないという場合なら、発行会社だけを同じものにしておく。筆者の場合は、DCカード系で発行したカードの1枚をネット通販専用に利用し、店頭などでは別のDCのカードにしている。ネットサービスでは複数枚利用しているが、ポイントは合算させるので、有効に使える。万一の場合は、カードごと失効させて被害を最小化できるし、その登録サイト以外には影響が及ばない。

パスワードの将来

 現実的な対処の話題はこのくらいにして、近い将来のパスワード像を筆者なりに占ってみたい。

 以前も指摘ように、重要なパスワードはそのほとんどが「決済」「金銭」に関わっている。現実世界では日本を含め、そのうちに財布がほとんど要らない社会にシフトしていくだろう。そこで注目されるのが、無料でデバイスを提供している「Squareリーダー」である(一部有償販売する店舗もある)。

 実際に入手してテストしてみたが、実質的に設備投資をすることなく、その場で手持ちのタブレット端末やスマートフォンのミニジャックにデバイスを差し込めば、簡単にカードリーダーとして使える。現状ではVISAとMasterが使えるが、この2種類だけでもほとんど困らない。

 屋台でもフリーマーケットでも、その場でクレジットカードが使える。商売する方にとっても実に簡単に使え、通常なら翌日には自分の銀行口座に入金があるので、メリットは大きいだろう。ただし、3.25%の手数料がかかる(1万円のカード決済なら、入金されるのは9675円)。また、「サイン」を入れることに、日本人としてはハードルが高いかもしれない。

なお、筆者がフリーマーケットで使うことを想定して試してみたところ、登録からクレジットカードで決済するまで、たった15分だった。メールで領収書も届いていた。最初の作業だけ15分ほどかかるが、以降は1分かかるかどうかというところだ。

 さらに、クレジットカードが不要な世界も現実化している。日本ではなじみが薄いが、世界的に有名なPayPalである。顔写真と名前の確認で支払う(現金不要)。購入客はスマートフォンなどにPayPalのアプリをインストールするだけだ。ただし、どこでも使えるわけではなく、現状では店舗側で受け入れ体制を整える必要がある。米国では数千店舗以上が対応し、英国などでも広がっている。

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