――導入の準備はどのように行いましたか。
2012年10月から首都圏の一部現場で試験導入を行い、そこで明らかになった課題をシステム開発に反映していきました。例えば乗務員向けアプリは、幅広い年齢層のユーザーが使うことを念頭に置き、操作性を一番に考えて開発しました。
具体的には、電子マニュアルアプリは使いやすさを優先してあえて機能を限定したり、ボタン類の表記も、乗務員が仕事で使い慣れている用語を使うことを徹底しました。また、運転時刻表を表示するアプリも、乗務員が普段から使っている車両の運転台にあるモニターなどのユーザーインタフェースに似せて開発するなど工夫しました。
また今回、多いところでは100台以上のiPad miniを1つの現場に配備します。その充電や保管を行いやすいよう、専用の保管棚を設置したり、ブレーカーの増強なども行いました。
このほか、専用のiPad miniカバーも独自で開発しました。このカバーは内部にマグネットを埋め込むことで、ユーザーが乗務中に使う際も滑ったりしにくく、車内の壁に端末を立てかけても不安定にならないようになっています。
――導入に当たって直面した課題があればお聞かせください。
今回のiPad mini導入は、乗務員1人1人への個人貸与ではなく、勤務中の乗務員にのみ配布することで全体の台数を抑えています。しかし、基本的にタブレット端末は個人が所有することを前提としてOSやアプリケーション、サービスなどが作られているため、実際の運用方針とツールのすり合わせに苦労しました。
――現在の導入状況はいかがでしょうか。
すでに首都圏の30現場で導入済みで、2013年度中に全90現場で導入が完了する予定です。当初はとまどう乗務員もいましたが、私物のスマートフォン利用で操作法に慣れていたユーザーも多く、おおむね好意的に受け止められています。
タブレット導入を決定してからは、支社や現場から「こういう機能がほしい」といった声が積極的に寄せられるようになりました。
――今後の展開についてお聞かせください。
全現場への展開を完了してからも、ユーザーの声を踏まえてさらなるタブレット活用を進めていく構えです。具体的には、最大の目的であった緊急対応時のスピードアップだけでなく、お客様への案内サービスなどにもiPad miniを積極活用していきたいと考えています。
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