Hadoopはブラックホール? ビッグデータ分析基盤には「実験室」が欠かせないとTeradataTeradata PARTNERS 2013 Report(2/3 ページ)

» 2013年10月22日 09時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
Teradataのマイク・コーラーCEO

 Teradataのマイク・コーラーCEOも「ここ数年、テクノロジーはかつてないスピードで変化している。中でもビッグデータがゲームチェンジャーであることは間違いない」と話す。

 これまでは捨てていた詳細データを取り込み、ソーシャルメディアやコールセンターの多様なデータも掛け合わせて分析することで、顧客が何をして、何を望んでいるのかを理解し、より良いアクションにつなげることができるようになる。しかし、ビッグデータは破壊的なテクノロジーであり、それゆえ両刃の剣でもある。

 「ビジネスを本質的に変えてしまい、ビッグデータの活用で遅れを取れば、企業は一気に競争優位を失いかねない。また同時にCIOは、増え続けるデータでコスト負担も増し、情報システム部門も大きな打撃を被ると恐れている」とコーラー氏。

Hadoopをやっていればビッグデータなのか?

 Teradataデータベースは約30年前、並列処理型のリレーショナルデータベースとして産声を上げた。あらゆる処理を並列で行おうとするアーキテクチャーはいまだに他社の追従を許さない。世界の名だたる企業がTeradataで大規模なデータウェアハウスを構築し、意思決定支援に役立てている。それだけにビッグデータ活用のためにオープンソースのHadoopへと走るIT業界と企業に苦言も呈する。

Teradataのスティーブン・ブロブストCTO

 日曜の朝、「ビッグデータをめぐる業界の混乱」をテーマにセッションを行ったTeradataのスティーブン・ブロブストCTOは、「Hadoopをやっていればビッグデータなのか?」と皮肉った。

 Hadoopはビッグデータの取り込みとアーカイブには優れているが、MapReduceプログラミングフレームワークを使いこなしたバッチ処理が主体となる。しかも、簡単にサーバを追加して拡張できるスケーラビリティーには優れているが、使用効率や管理性には難がある。「子犬をタダで譲り受けても、タダでは育たない」と手厳しい。

 IDCの最新の調査では、データの探査から洞察力を得るための特性や機能を備えた組織はわずか10%足らずという企業のお寒い事情も明らかになっている。

 「あるCIOは、Hadoopを導入したが何も出てこないブラックホールだ、と嘆いていたが、化学の実験室のように洞察を見つけ出すディスカバリープラットフォームが欠かせない」とブロブスト氏。

 Teradataは昨年のPARTNERSで、統合データウェアハウスのTeradata、ディスカバリープラットフォームのAster、そしてデータプラットフォームのHadoopという3種類の並列処理型データベースをシームレスに連携できる「Unified Data Architecture」(UDA)を発表した。ビッグデータの取り込みとアーカイブに優れた性能を発揮するHadoopと、ビッグデータから洞察を発見したり、分析することに長けたAsterを上手く組み合わせて使えるだけでなく、これまで構築してきた大規模なTeradataデータウェアハウスとも密に連携させ、すべての種類のデータを効率良く活用できるようになるという。

 「UDAでは、すべてのデータを統合し、適切なツールを適切な仕事のために使い分けることができる」とコーラー氏は話す。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ