Windows 8.1 Enterpriseの入手は、ボリュームライセンスを通じて行う。ボリュームライセンスといえば、数千台ものPCやサーバを運用している大企業だけが使えるモノと思われがちだが、実は最低3台のPCから適応できるOpen Valueがあるなど、様々な規模で利用できるようになっている。OSやOfficeなどのライセンスが最低3台から購入できるため、SOHOや小規模な事務所、工場などでも利用できる。
ボリュームライセンスによるMicrosoft製品の利用形態は「ライセンス(L)+ソフトウェアアシュアランス(SA)」というものだ。購入方法は幾つかあるが、システムインテグレータやMicrosoftから直接購入できる。L+SAを3年間で分割購入することもできる。
L+SAの権利を持っている期間は、新しいOSやOfficeなどがリリースされれば、追加コスト無しにアップグレードできる。つまり、Windows OSのライセンス+年間保守費用といった考え方に近いだろう。年間保守費用を支払っている間は、新バージョンのソフトウェアがリリースされても、追加コストを支払わなくてもいい。
ボリュームライセンスは、購入費用の分割以外にも様々な特典が用意されている。例えば、Windows 8.1 EnterpriseはSAを前提として提供されている。Windows 8.1 Enterpriseで提供されているWindows To Go(UBSメモリにOSイメージを保存して、このUSBメモリを出先のPCに挿すことで、いつでも自分のPC環境を実現できる)や、シンクライアント版のWindows OSといえるWindows Thin PCの利用、Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOP)などを利用できる。
特にMDOPは、アプリケーションを仮想化して各PCに配信するApplication Virtualization(App-v)、デスクトップ仮想化を行うMicrosoft Enterprise Desktop Virtualization(MED-V)、Windows OSが持つドライブ暗号化機能のBitlockerを効率的に管理するBitlocker Administration and Monitoring(MBAM)、ユーザー環境の仮想化を行うMicrosoft Use Experience Virtualization(UE-V)、グループポリシー管理を支援するAdvanced Group Policy Management(AGPM)、PCの障害を修復するツール群Microsoft Diagnostics and Recovery Toolset(DaRT)が用意されている。MDOPを利用するには、SAを前提にしてMDOPの年間契約を行うことになる。
実際にWindows 8.1 Enterpriseを入手するには、システムインテグレータやMicrosoftに相談して、企業にとってぴったりなボリュームライセンスを導入するようにすればいい。従業員が数人の会社や事務所にとっては、Windows PCを購入した方が簡単なように思えるが、SAで利用できる利点なども存在する。また、Windows Intuneなどのオンラインサービスを購入すれば、Windows Intuneの料金にSAの権利が含まれるため、コストメリットもある。
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