シナリオ・プランニングとは何か?今こそビジネスマンが習得したい発想法(2/2 ページ)

» 2014年01月28日 08時00分 公開
[野村恭彦,ITmedia]
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複数のシナリオ

 「シナリオ・プランニング」とは、起きるかもしれない未来のさまざまな姿を具体的に描くことで、最も確率の高い誰もが予想する未来のみならず、インパクトの大きい未来のほかの可能性に備えるための方法論です。つまり、シナリオ・プランニングのメリットは、「必ず起きる未来」だけではなく、「不確実性の高い未来」を想定の範囲内に入れることです。東京オリンピックは、1年前までは不確実な未来でしたが、今では必ず起きる未来になりました。もし今、シナリオ・プランニングをするのであれば、「東京オリンピック後の東京」を考える方が、エキサイティングでしょう。

「シナリオ・プランニング――未来を描き、創造する」 「シナリオ・プランニング――未来を描き、創造する」

 シナリオ・プランニングの方法論について、「シナリオ・プランニング――未来を描き、創造する」(ウッディー・ウェイド著、英治出版、2013)では、次の10のステップが示されています。

STEP 1 課題を設定する

STEP 2 情報を収集する

STEP 3 未来を動かす「ドライビング・フォース(原動力)」を特定する

STEP 4 未来を左右する「分かれ道」になるような要因を見つける

STEP 5 シナリオを考える

STEP 6 骨組みに肉付けし、ストーリーを描く

STEP 7 シナリオを検証し、追加の調査を特定する

STEP 8 シナリオの意味をくみ取り、取り得る対策を決める

STEP 9 目印を探す

STEP10 シナリオを観察し、更新する

 この本はシナリオ・プランニングの書籍としては異色で、まるで写真集のような美しい写真やイラスト、事例も豊富です。興味を持たれましたら、ぜひ手に取って見てください。

 シナリオ・プランニングは、本来は半年以上かけて綿密なリサーチに基づいて作成するものですが、たった1回のセッションで作成することもできるのです。ここでは、多くの人をシナリオ作りの楽しさ、目を見開かされる効果に誘うための、パワフルなショートバージョンをご紹介します。ステップは、次のたった4つです。

ステップ1 問いを立てる

ステップ2 変化の兆しを挙げる

ステップ3 未来を左右する分かれ道を選ぶ

ステップ4 シナリオを描く

 次回は、このシナリオ・プランニングのショートバージョンを使って、実際に4つのシナリオを作ったセッションを紹介します。お楽しみに。

著者プロフィール

野村恭彦(のむら・たかひこ)

株式会社フューチャーセッションズ代表取締役社長、金沢工業大学(K.I.T.)虎ノ門大学院教授、国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主幹研究員。博士(工学)。富士ゼロックス株式会社にて事業変革ビジョンづくり、新規ナレッジサービス事業KDI立ち上げなどに従事。2012年6月、企業、行政、NPOを横断する社会イノベーションをけん引するため、株式会社フューチャーセッションズを立ち上げる。著書に『フューチャーセンターをつくろう』(プレジデント社)、監訳書に『シナリオ・プランニング』(英治出版)など。


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