ソーシャルで企業変革に取り組むペプシコやブラジル石油公社IBM Connect 2014 Orlando Report(2/3 ページ)

» 2014年01月28日 09時00分 公開
[浅井英二,ITmedia]
10月のTHINK Forum Japanで「平均値」時代の終えんを話したロメッティCEO

 こうした旧Lotus部門のさまざまなソリューション群から共通して見えてくるのが、「自分のことを理解して“個”として扱ってほしい」という人の欲求であり、それを実現するためのテクノロジーとしてのソーシャルやアナリティクスだ。同社のジニー・ロメッティCEOが言う「平均値」時代の終えんだ。

 人材管理にしても、これまでは組織が階層型だったことや情報量が少なかったことから、マネジャーも懲罰の判断材料としての社員情報しか持ち得なかった。しかし、ソーシャルによって組織の透明性が増し、そこで生まれるビッグデータを分析できるようになると、人材管理も大きく変わろうとしている。採用時からソーシャルを活用し、入社後の膨大なデータを詳細に分析すれば、新しいチームへの異動やトレーニングという、適材適所で人材を生かす意思決定につながるかもしれない。これは大きなパラダイムシフトであり、同じことは顧客に対するデジタルマーケティングでも起こりつつある。

 ちなみに、IBMはこの日、新しい「IBM Kenexa Talent Suite」を発表、ソーシャル機能とアナリティクス機能を統合し、1年前の約束を果たしている。

 ヘイマン氏は、「新しいテクノロジーは、これまで不可能だったことを可能にしてくれる。ぜひ、考え方や働き方を変え、新たな仕事のやり方をデザインしてほしい」と参加者に話した。

製造現場でも大きな効果が見込めるソーシャル

PepsiCoのファーン・ジョンソン氏

 毎年、Connectカンファレンスには多くの顧客企業が招かれ、オープニングでその取り組みを紹介する。そのトップバッターとしてステージに登場した食品業界の巨人、PepsiCoも、IBMと一緒になって働き方の変革に取り組んでいる企業のひとつだ。

 ニューヨーク州パーチェスに本社を置く同社は、「ペプシ」はもちろん、「トロピカーナ」や「フリトレー」「ゲータレード」など、だれもが知るブランドを擁し、約30万人の社員が世界の200カ国以上で働く多国籍企業。情報共有とコラボレーションを加速すべく、IBM Connectionsを導入、「PEPnet」と呼ばれるエンタープライズソーシャルを構築中だ。

 ステージに登場したグローバルコラボレーションプログラム担当のシニアディレクター、ファーン・ジョンソン氏は、1000人規模のパイロット導入で多くのことを学んだという。人材管理でも隠れたニーズがあったことや、生産や製造の現場でも効果が期待できることだ。

 「製造の現場にも本社の財務部長に負けないくらいのナレッジがある」とジョンソン氏。

 現在、PEPnetのユーザーは2万5000人、近い将来は10万人に拡大する計画だ。「ソーシャルをPepsiCoの企業文化に浸透させ、ビジネスプロセスに組み込んでいきたい」と彼女は話す。

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