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» 2014年03月03日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:Microsoft幹部が語るWindows Azureの勝算

Microsoftがこのほど日本国内にデータセンターを設けて増強を図ったクラウドサービス「Windows Azure」は、宿敵Amazonを追撃できるのか。キーパーソンに直撃取材してみた。

[松岡功,ITmedia]

Windows AzureはAmazonを追撃できるか

 「最終的にはPaaSが勝つ」

 米MicrosoftでIaaS/PaaS型サービス「Windows Azure」の事業責任者を務めるスティーブン・マーティン ゼネラルマネジャーは、クラウド市場で一大勢力となりつつあるIaaS型サービスを提供するAmazon Web Services(AWS)を追撃できるか、という筆者の質問にスッパリとこう答えた。

 その詳しいやりとりは後ほど述べるとして、先週、筆者は来日したマーティン氏に単独取材する機会を得たので、Windows Azureをめぐる競合状況やパートナー戦略について聞いてみた。

 マーティン氏は、日本マイクロソフトが2月25日に開いた日本国内でのWindows Azure用データセンター開設の発表会見に伴って来日した。日本マイクロソフトの樋口泰行社長とともに行った会見の内容については関連記事を参照いただくとして、ここからはマーティン氏にインタビューした内容を一問一答で紹介したい。

――Windows Azureのグローバルでの普及状況は。

米MicrosoftのWindows Azureビジネス&オペレーションズ担当ゼネラルマネージャー、スティーブン・マーティン氏 米MicrosoftのWindows Azureビジネス&オペレーションズ担当ゼネラルマネージャー、スティーブン・マーティン氏

 現在、顧客数は20万社を超え、このところ1日で1000社を超える新規顧客が加わりつつある。日本でも既に1万社を超える顧客に利用していただいている。

――IaaS/PaaS型サービス市場は競争が激しくなりつつあるが、競合相手はどこだと見ているか。

 競争が激しい市場では、製品・サービスの品質が一層問われるようになるので、顧客にとっては良いことだ。競合相手と見ているのは、IaaSではAWS、PaaSではGoogleだ。ただし、Windows Azureでは両方の機能を兼ね備えているので、これからクラウドを自社のIT基盤として利用していきたいという企業には最も取り組みやすいサービスだと自負している。

――とはいえ、IaaSではAWSが一大勢力となりつつある。AWSを追撃することができるのか。

 AWSではワークロードが限定されているようだが、Windows Azureはその点、柔軟に対応できるというメリットがある。また、Windows AzureはPaaSとして、クラウドとオンプレミスを柔軟に行き来できるという他にはないハイブリッド環境を実現することができる。ほかにはないこの利便性が、今後多くのクラウドユーザーに受け入れられる決め手になると確信している。

――AWSとの戦いは、すなわちIaaS対PaaSの構図でもあるが、今後クラウド基盤の主流になるのはどちらだと考えるか。

 最終的にはPaaSが勝つ。なぜならば、今後IaaSはどんどん標準化され、自動化される方向へ進み、PaaSを支える機能として取り込まれるようになるからだ。これからのクラウド市場での付加価値競争は、PaaSを舞台に展開されることになるだろう。

大手ベンダーとのパートナー関係はどう変わるか

――これまでのオンプレミスにおけるWindows環境は、例えばIBMやOracle、SAPといったエンタープライズ向けの大手ベンダーもパートナーとして支持してきた。しかし、それらのベンダーもクラウド事業ではPaaSに注力している。これまでのパートナー関係が、今後大きく変わっていくのではないか。

 今後はどのベンダーもクラウド事業にシフトしていくのは必然で、これまでのパートナー関係がどうなっていくかはまだ分からない。同じPaaSとして競合する一方、お互いの顧客の利便性を図るために連携するケースも出てくるだろう。例えば当社の場合、パソコンが出てきた頃から考えるとIBMとの関係が最も深かったかもしれないが、クラウドサービスではOracleといち早く手を結んだ格好になっている。変化という意味では、こうした動きもそうかもしれないが、いずれにしてもパートナーとのエコシステムは、クラウド事業においても非常に重要だと考えている。今後どんな新しいパートナーシップが生まれるか、期待してほしい。

――PaaSベンダーは今後、ますます群雄割拠するのか、それとも淘汰されていくのか、どちらだと見ているか。

 PaaSをグローバル規模で展開するベンダーは、それなりのビジネスボリュームが必要なことから、ある程度絞られていくだろう。ただし、そのビジネボリュームを大きくするためにも最大の勝負どころになるのは、パートナーとの強力なエコシステムをいかに構築していくかだと考えている。当社はその点に最も注力していることを改めて強調しておきたい。

 以上が、マーティン氏との一問一答である。最後に上記のやりとりでは省いたが、同氏は筆者の質問に対し、たびたび「クラウド時代はまだ始まったばかり。もっと長い目で見る必要がある」と前置きしていたことを付記しておく。そんなに先走ったことは聞いていないつもりなのだが…。ただ、それはあたかも「これからもっといろいろダイナミックなことが起きるよ」と語っているようでもあった。

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