NECとHP、SDNで協業 マーケットプレイスなどエコシステム拡大へ

2社のSDN対応機器における相互接続性を高めるほか、それぞれに立ち上げる予定のマーケットプレイスの連携も視野に入れる。

» 2014年03月04日 16時25分 公開
[國谷武史,ITmedia]

 NECと米Hewlett-Packardは3月4日、ネットワーク仮想化技術のSDN(Software-Defined Networking)領域で協業すると発表した。2社の製品のおける相互接続性の向上を皮切りに、エコシステムの拡大も図るとしている。

 協業ではNECのSDNコントローラとHPの50機種のSDN対応スイッチ、HPのSDNコントローラとNECのバーチャルテナントネットワークアプリケーションにおける相互接続性を高める。評価機を用いた検証ラボを構築し、SDNのコントローラ層とサウスバウンドAPIで接続するインフラ層におけるオープン化を推進するという。

機器間の相互接続性向上に向けた協業内容

 さらに、SDNのコントローラ層からノースバウンドAPIで接続するアプリケーション層に対しては、APIの標準化と、SDN対応アプリケーションのマーケットプレイスにおける連携を進める。マーケットプレイスは2社がそれぞれ6月までに立ち上げる予定。将来的に両社共通のパートナーを含む50社以上からネットワーク管理やセキュリティ対策などのSDN対応アプリケーションが提供される見込みで、今回の協業ではアプリケーション層における連携ソリューションの展開も視野に入れている。

エコシステム拡大に向けた協業内容

 SDN領域で2社は、OpenFlowによる標準化推進団体のOpen Network FoundationやOpenDaylight Projectなどの活動も展開。クラウドサービスプロバイダーや先進的なユーザー系企業での導入も進み始めたが、2社の協業はこうした実績のもと、実際のSDN対応環境をさらに整備することで、企業導入を促進させる狙いがある。

 協業の背景についてNEC 執行役員の福田公彦氏は、「SDNの普及には標準に基づくオープンな接続性を広げていく必要がある」と説明。また、HP ネットワーク 日本・アジア太平洋地域担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのモーテン・イルム氏は、「NECとはサーバ領域を含めて長年の協業関係にあり、これをSDN領域にも広げることで、企業顧客にさらなる選択肢を提供できる」と述べている。

 特にエコシステムにおける連携ではさまざまな可能性を秘める。例えば、HPはMicrosoftのユニファイドコミュニケーション製品「Lync」のQoSを実現するためのSDN対応アプリケーションをデモなどで披露している。NEC側はMicrosoftのHyper-VでSDNによる連係を表明しており、これによってインフラ層からアプリケーション層までをカバーするSDNソリューションの1つが形成されることになる。

 なお、Cisco Systemsは2013年11月、SDNを中核にシステム基盤層やアプリケーション層も包含した制御を実現していく「Application Centric Infrastructure(ACI)」という構想を発表。今回のNECとHPの協業とともに、ネットワーク仮想化をめぐる今後の展開が注目されている。

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