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» 2014年03月17日 08時00分 UPDATE

Weekly Memo:NECとHPの協業はどこまで広がるか

NECと米HPが先頃、協業関係を拡大すると発表した。両社の関係は今後さらに広がるのか。今回の協業拡大でNEC側の交渉責任者を務めたキーパーソンを直撃取材した。

[松岡功,ITmedia]

NECとHPがSDN領域へ協業拡大

 NECと米Hewlett-Packard(HP)が先頃、これまで両社の間で培ってきたIT分野における協業関係を、企業ネットワークのSDN(Software-Defined Networking)領域に拡大すると発表した。

 具体的には、(1)企業向けSDN領域におけるエコシステムを実現する、(2)オープンな標準技術でのSDN対応ネットワーク機器の相互接続性の強化する、という2点で協業を進めるという。

 1つ目については、企業ネットワーク分野のSDN化を促進するため、SDNに対するアプリケーションや開発環境を広く市場に提供。両社はさまざまなアプリケーションベンダーと連携し、オープンな標準仕様に基づいて動的に仮想ネットワークをコントロールする機能を持つアプリケーションの拡充を図り、マーケットプレイスを通して提供することでSDNの利用価値をさらに高まるオープンなエコシステムを確立するとしている。

 2つ目については、SDNに対応した企業向けネットワーク機器(SDNスイッチ)と、それらを動的に制御する管理ソフトウェア(SDNコントローラ)間の相互互換性の強化を図り、グローバルに提供。具体的には、NECのSDNコントローラとHPのSDN対応スイッチとの相互接続や、NECのバーチャルテナントネットワーク(VTN)アプリケーションとHPのSDNコントローラの相互接続などを実現するとしている。

 これらの取り組みを両社で進めることで、企業向けSDN領域での技術連携を一層広げ、ネットワークにおける技術革新を進めるとともに、ICT基盤全体の仮想化および自動化を実現していきたい考えだ。

 今回の両社のSDN領域での協業におけるさらに詳しい内容については関連記事を参照いただくとして、今後の動きで注目されるのは、両社の関係が一段と広がっていく可能性があるかどうかだ。

 両社の協業は、1995年にHPがNECに対してUNIXサーバをOEM提供することで始まった。その後、2002年にはシステムインテグレーション(SI)事業およびアウトソーシングサービス事業をグローバルで展開していく関係に拡大。その折りに開かれた発表会見では両社のトップが顔を揃え、戦略的なパートナーぶりを印象づけた。今回の発表もその流れを汲んだ動きといえる。そして今後、例えばさらに広範囲のクラウドサービス事業などに協業拡大していく可能性は果たしてあるのか。

両社のさらなる協業拡大の可能性は…

 そんな筆者の質問に対し、今回の協業拡大におけるNEC側の交渉責任者を務めた福田公彦執行役員が取材に応じてくれた。

NECの福田公彦執行役員 NECの福田公彦執行役員

 福田氏は筆者の取材に対し、まず今回の両社の協業のテーマとなったSDNのポテンシャルについてこう語った。

 「SDNはネットワークの仮想化技術と受け止められているが、それがもたらすインパクトは非常に大きい。ネットワークを仮想化することで複数のデータセンターを連携させて効率的な運用が行えるようになり、それがひいてはIoT(Internet of Things)の世界を実現する基盤にもなる」

 「さらに今、普及しつつあるクラウドはコンピューティングのあり方から言えば集中処理の方向に進んでいるが、その先には新たな分散処理の仕組みが生まれてくると見ている。SDNはそうしたコンピューティングの進化の要となる技術で、企業をはじめ社会全体のICTの仕組みに大きな革新をもたらすものだと確信している」

 とはいえ、SDNの普及促進に向けた動きはまさしくこれからだ。従って、そのリード役を果たしていこうというのが、今回の両社の協業の大きな目的でもある。

 では両社の間で、今回のSDN領域での協業をきっかけに、さらに広範囲なクラウドサービス事業などでパートナーシップを図っていくような話は持ち上がっているのか。福田氏はこの点について、「現時点では、今回のSDN領域での協業について合意したところで、より広範囲に協業拡大していこうという具体的な話はしていない。まずは両社でSDN市場を牽引し、グローバルスタンダードを確立するとともに、それをベースとしたエコシステムを広げていくことに注力したい」と語った。

 ちなみに、今回の両社の協業拡大におけるHP側の交渉相手はネットワーク事業部門で、HPとしては日本市場での同社のネットワーク事業のプレゼンスを高めたいという意図が強かったようだ。従って、当初からSDN領域が交渉のテーマだったと推察される。

 とはいえ、福田氏が言うようにSDNのポテンシャルは非常に大きい。これからSDN化が着実に進んでいけば、NECとHPの協業範囲も広がっていく可能性はあるだろう。NECにとってはグローバル化を加速するためにも、HPとの協業をさらに生かしたいところだ。再び両社のトップが顔を揃えて記者会見を開くようなパートナーシップの発展があるかどうか、注目しておきたい。

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