Google Xでは軌道エレベーターの開発も検討──Glassや気球式ネット網の次は?

Google GlassやProject Loonに取り組む“moonshot工場”のGoogle Xでは、軌道エレベーターやテレポーテーションの実現可能性も真剣に検討したという。

» 2014年04月16日 14時25分 公開
[ITmedia]

 米Googleの実験的プロジェクト部門「Google X」では、軌道エレベーターやテレポーテーションの開発も検討していた──。米ビジネス誌Fast Companyは4月15日(現地時間)、Google Xの取材記事で、Google Xの「moonshot」の幾つかを紹介した。

 Google XはGoogleの共同創業者、サーゲイ・ブリン氏が中心になって2012年に立ち上げたプロジェクト部門。moonshotとは“魔法のような、不可能と思われるアイデアを科学技術の力で実現すること”で、Google Xは“Googleのmoonshot工場”という。

 現在進行中のプロジェクトとしては、自動運転カーやメガネ型端末「Google Glass」、気球式ネット網の「Project Loon」、無人機による空中発電の「Makani」などがある。また、元Android統括者のアンディ・ルービン氏は現在Google Xでロボットプロジェクトに取り組んでいる。

 これらのプロジェクトは荒唐無稽に見えるが、Google Xでは他にも多数のアイデアが検討されており、現行のプロジェクトはいずれも慎重に検討した結果残ったものという。

 「軌道エレベーター(宇宙エレベーター)」にも取り組んだ。軌道エレベーターとは、地表から静止軌道まで延びるエレベーターのことだ。実現すれば、膨大なコストが掛かるロケットなどに代わって安全に軌道上の衛星などに人や物資を運べるとされる。このプロジェクトは、建築素材の検討の段階で頓挫したという。エレベーターで使うケーブルにはカーボンナノチューブが最適であることが分かったが、この素材で1メートル以上のケーブルを製造することができなかったのだ。とはいえこのプロジェクトは“凍結”されただけで、技術が追いつけば再開する可能性もある。

 Google Xでは「テレポーテーション(念力移動)」の実現可能性も真剣に検討したが、物理法則に反するという結論に達したという。この検討の過程でコミュニケーションの暗号化に関するアイデアが生まれたので、無駄にはならなかったとしている。

 同部門の実質的な責任者で「Captain of Moonshots for Google[x]」という肩書を持つアストロ・テラー氏は、「(プロジェクトの1つである)Google Glassは失敗ではないか」と問うFast Companyに対し、「そうかもしれない」と認めつつ、(Glass Explorerで)アイデアを公開することで失敗や誤りを早期に発見できていると語った。同氏は「ほとんどのアイデアは実現しない」とし、「Google Xのプロジェクトの1つでもホームランになれば嬉しい」と語った。

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