女性が注意すべき身近なセキュリティ――情報とお金を守るためには萩原栄幸の情報セキュリティ相談室(2/2 ページ)

» 2014年04月25日 08時00分 公開
[萩原栄幸,ITmedia]
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身の回りのお金

 1年の中で4月や5月は、スリや置き引きによる被害が多いようです。特に、新社会人になったばかりのOLさんがターゲットにされます。財布はしっかり身に付け、中身を把握しておきます。新しい生活が始まるとクレジットカードやポイントカード、そしてキャッシュカードなどが簡単に10枚以上に膨れ上がります。

 全て財布やカード入れに保管して持ち出すのではなく、その日に使うカードだけ持ち出すことでリスクが軽減されます。また、万一の紛失や盗難に遭っても冷静に対応できるよう全てのカードの名称、社名、緊急連絡先、そのカードの特徴などの一覧表を作成しておくことが肝要です。

 ある年の6月頃、新人OLの方に「あなたの財布が盗難にあったとします。さて、財布やカードケースの中にある全てのカード枚数とその連絡先が分かりますか?」と尋ねたことがありました。なんと、7割以上の方が保有枚数すら把握していなかったのです。くれぐれも「緊急連絡すらできないという女性」にはならないでください。

 よくレストランなどの「席取り」でテーブルにスマホや財布を置いて、平気でレジの行列に並ぶ人がいます。外国人がびっくりする日本人の行為の1つにもなっています。そのシーンに直面した中国人と米国人の友人が、「わが国なら1分もしないうちに無くなっているよ」と眺めながら話していたのが印象的でした。

マネロンの被疑者になるかも

 ある女性にこんなメールが来ました。

「わたしは米国の通販会社の経理担当者です。誤ってあなたの〇〇銀行〇〇支店の口座に625万円ほど入金してしまいました。事務手続きの単純ミスです。

口座は本人でないと資金の移動できないので、あなたを信用して指定口座に入金してほしい。金額が大きいので窓口での振込となりますが、その手数料として振込金額は620万円でOKです。差額の5万円は手数料としてお渡し致します。窓口では理由を聞かれますので『〇〇〇です』と話せば、すぐに納得されますのでよろしくお願いいたします。

誠に申し訳ございませんがこのメールをお読みになってから2日以内に処理をお願いします。もしそれを超えた場合は日本の警察にこの事実を連絡するしかなくなってしまいます。ぜひ、ぜひお願いします。」


 実際に確認すると、振込がありました。そこで彼女は時給5万円のバイトと考え、喜んで窓口で振込をしました。その後、警察から共犯の疑いで家宅捜索されてしまったとのことです。どうやら、新手のマネロン(資金洗浄)だったようです。

 このようなメールを受信したら、とにかく警察に相談します。「入金をそのままネコババできるのでは?」と軽々しく考えた方は、極めて危険な状況に陥ることになります。正式に訴えられるか、裏ルートでお金を奪われ、行方不明となるか……。

 これとは反対に、ゴールデンウィークの海外旅行先で「スーツケースを1つ運んでほしい」と頼まれ、何も考えずに空港に行ったところ逮捕され、現地で終身刑になった方もいます。諸外国は密輸入、特に麻薬に対する罪が重いのです。こういう頼み事をされても、絶対に引き受けてはいけません。「お礼に10万円を差し上げる」といわれようが、絶対に受け取らず、万一受け取っても直ちに返却して、その場から出国すべきです。

 現地スタッフに頼まれ、「今まで親切に接してくれたから」とついつい引き受けてしまうケースも多いのです。最悪の場合、初犯であっても死刑になるので、絶対に受けないでください。


 次回は「女性が注意すべき身近なセキュリティ」の後編として盗撮、盗聴、コンビニ、セクハラなどを取り上げます。

萩原栄幸

日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。

組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。


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