振込や宅配を依頼する時は、深夜や自宅周辺を避けることが賢明です。こんなシーンをイメージしてみてください(あくまで想像です)。
「今日も深夜の帰宅だったけどやっとのんびりできる……」と思い、OLのAさんは実家あてに東京で買ったブランドのバッグを妹に送ろうと、買い物を兼ねて深夜に自宅近くのコンビニに出かけた。そして買い物と宅配荷物を預けたのであった。その後、応対した店員はこんなことを企んでいた。(通常は女性が被害者ですが男性の場合もあります)。
「かなりカワイイな。名前は「〇〇」なんだ。住所はここから歩いて5分くらいだ」
「実家に送るんだ。よし! 実家の住所と電話番号と、彼女の携帯電話も分かった!」
「店番はオレ1人だから、この宅配伝票をコピーしても誰にも分かんないよな」
「さっき買ったドレッシングはゆず風味だったな。これが好きなんだ」
「生理用品も買っているな。(商品棚を見て)これかぁ……」
この程度で済めばいいかもしれません。しかし、彼女のアパート周辺をうろうろして、下着泥棒や空き巣をはたらく可能性もあります。自分の行動がどれだけ影響するかを良くイメージすることが必要です。これはセキュリティの考え方でもあり、「こうすると、こうなるかも」と分析することで有効な防御手段を手にできるようになります。
振込や宅配便は、会社近くのお店でお昼休みなどに行うか、休日ならオーナーを含む女性店員が複数働いている時間帯に行くなど、リスクが少なくなるように工夫します。
日本と米国の一番の違いは賠償請求額でしょう。米国なら実際に訴訟に至ったケースとして、日本人のセクハラに対して200億円以上もの賠償額が出されました。一方、日本のケースではせいぜい1000万円台です。実際に筆者が知っているケースですと、会社と被害女性との示談金額は20万〜200万円くらいです。100万円近辺が相場でしょうか。金額は被害の大小や会社の経営規模そして加害者の役職によって大きく変動します。
もし、セクハラが主な原因で退職を考える状況なら、まずは社内のセクハラ相談の窓口か、社長や役員に相談するのがいいでしょう。“会社の汚点”となる前に、なんとか解決しようと動くからです。
ただし、それでもダメな場合や、余計に酷くなるようなら専門の弁護士に相談すべきでしょう。きちんと表面に出して、せめて示談金くらいは勝ち取るべきです。
日本セキュリティ・マネジメント学会常任理事、「先端技術・情報犯罪とセキュリティ研究会」主査。社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会技術顧問、CFE 公認不正検査士。旧通産省の情報処理技術者試験の最難関である「特種」に最年少(当時)で合格。2008年6月まで三菱東京UFJ銀行に勤務、実験室「テクノ巣」の責任者を務める。
組織内部犯罪やネット犯罪、コンプライアンス、情報セキュリティ、クラウド、スマホ、BYODなどをテーマに講演、執筆、コンサルティングと幅広く活躍中。「個人情報はこうして盗まれる」(KK ベストセラーズ)や「デジタル・フォレンジック辞典」(日科技連出版)など著書多数。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.