「インフラ×IT」で中東諸国の課題解決に挑む日立目指すは社会のイノベーション(2/4 ページ)

» 2014年05月08日 08時00分 公開
[石森将文,ITmedia]

 同地域における事業展開を担うのは、日立の中東支店である。重電分野に長じた日立は従来から、大型プロジェクト主体の営業を展開してきた。例えれば“一発狙い”とも言えるが「それでは立ち行かなくなってきた」と指摘するのは中東地域の事業責任を負う駒形昌彦 中東代表だ。

日立製作所 中東支店の駒形昌彦代表。モットーは「Seeing is believing.(百聞は一見に如かず)」。着任後およそ1年かけて、中東の主要地域を回ったという

 同氏によれば2000年代半ばから、電力系プロジェクトの獲得が難しくなってきたという。円高の影響もあり日立に限らず日本企業勢の競争力が相対的に弱まったのがこの時期だ。いわゆる「失われた20年」の余波とも言え「技術が高くても、価格競争で勝てない」という状況が続くことになる。

 この悪循環を打破するため「現地マーケットへのアプローチを変えた」と駒形代表は振り返る。

 具体的には、重電を重視した事業展開だけでなく、現地の需要に対応したプロジェクトの提案も進めることや、製品を納入して終わりではなく、運用保守も含めてサービスを提供するO&M(Operation & Maintenance)を実施することなどであり、駒形氏はそれを「事業の“現地化”だ」と表現する。

 そして、転機となるのが2013年。カタール で開催した日立主催の展示会に当時の中西宏明社長 が来場する。展示会において中西社長自身が中東で初めて「スマートシティ」の構想を紹介。現地要人の反響は大きかったという。ITを使った社会イノベーション事業のお披露目であった。

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