Amazon.com、出版大手Hachetteの書籍から予約ボタン消す

Amazon.com上のHachetteの書籍ページから予約ボタンが消えたり、配送予定が数週間になったり、値引きがなかったり、購入できなくなったりしている。

» 2014年05月26日 05時49分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 米Amazon.comによる米大手出版社Hachetteへの攻撃が激化している。Amazon.com上の、Hachetteが近く出版する多数の書籍のページから予約ボタンが消えた。

 例えばHachette傘下の出版社Mulholland Booksの「The Silkworm」では、日本のAmazonでは予約ボタンがあるが、Amazon.comでは「Currently Unavailable(現在利用できません)」となっている。

 amazon 1 日本のAmazonでは予約できる書籍だが
 amazon 2 米国のAmazonでは予約ボタンがない

 両社の確執については、The New York Timesが5月9日(現地時間)に最初に報じた。書籍販売に関する契約交渉が決裂した後、AmazonがHachetteの書籍の販売価格をほとんど定価のままにするなどの圧力をかけているという。

 Amazonは“嫌がらせ”としてこの他、通常であれば2〜3日のはずの「お届け予定日」を数週間と表示したり、書籍ページの上部に「より低価格の類似製品」として同じジャンルの他社の小説を紹介したりしている。

 amazon 3 スリラー小説の“類似品”の紹介

 Amazonの暴露本「The Everything Store: Jeff Bezos and the Age of Amazon」のペイパーバック版も現在購入できなくなっている。ジャーナリストでもある著者のブラッド・ストーン氏は23日のBusinessweekの記事で、「Amazonの高圧的な取引交渉戦術を暴いた書籍がその戦術の犠牲になるとは皮肉なものだ」と書いている。

 Hachetteは23日、「われわれは著者の作品の価値を守るつもりだ。この困難な状況が長く続かないことを望んでおり、努力を惜しまずにあらゆる選択肢を検討している」と語った

 Amazonからはこの件に関する声明は発表されていない。

 Amazonは2010年にも同じような圧力を、出版大手Macmillanに対してかけたことがある。このときは電子書籍の価格設定に関する交渉決裂の結果だったが、最終的にはAmazonがMacmillanの要望を受け入れた。

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