モバイルをめぐる活用と管理の最前線・後編端末からコンテンツへ(1/2 ページ)

モバイルデバイス上で、ファイルやアプリなどを安全かつ便利に使うにはどうすればいいか。現在およびこれから期待されるソリューションについて、メリット/デメリットを踏まえながら解説する。

» 2014年05月28日 09時00分 公開
[古舘與章,ITmedia]

(本稿では法人とコンシューマの両分野に精通する筆者が企業のモバイル活用におけるトレンドを解説します。)

 企業のモバイル利用における重点は、セキュリティ確保のみから生産性を追求するフェーズにシフトしつつある。前編ではモバイルでのコンテンツ管理やファイル共有を取り巻く概況に触れたが、後編ではソリューションの選択について生産性、セキュリティ、運用管理の観点から述べてみたい。

デバイスの利用期間と規模

 前提としてコンテンツ管理以外では、まず利用するデバイスの選定が必要となる。デバイスが企業支給であれば、デバイスの利用期間やレンタル契約期間をそのままデバイス上で利用するソリューションの利用期間に反映するケースが大半だ。モバイルデバイスの場合、企業が導入したデバイスの利用期間は2〜3年といったところが主流である。

 規模に関しては、企業のモバイル導入規模には大きく3つのパターンがある。(1)IT部門やユーザー部門の一部によるスモールスタート、(2)外出や在宅勤務の多い部門全体での利用、(3)最初から全社員が利用――である。

 ここで最も気をつけなければならないのは、(1)のスモールスタートのパターンだ。このパターンではモバイル導入のスタートからゴールまでのマイルストーンを明確に設定し、どの時点でどの部門がどのようなソリューションを利用していくか、利用を拡大していくためには初期導入の段階でどのような効果測定が必要になるかを導入検討の早い段階で全社に向けて提示しなければならない。小規模による利用がスタートした段階で、「うちの部門でもすぐに利用したい」「なぜあの部門だけ利用できるのか」など、なし崩し的に規模を拡大せざるを得ず、結果として準備や運用管理の面で企業とIT部門に想定外の負荷とコスト負担がのしかかる危険性がある。

「誰もが使うもの」と「部門やユーザーによって使うもの」の線引き

 デバイス上で利用するソリューションの選択に関しては、要件定義の段階で「誰もが使うもの」と「部門やユーザーによって使うもの」に大きく線引きをしておく必要がある。「誰もが使うもの」には、デバイスはもちろんのこと、Wi-Fi環境や通信回線、VPNやMDM/MAM(モバイルデバイス/アプリ管理)、OSによってはアンチウイルスなどが含まれる。

 VPNではIPsecやSSL-VPN、キャリアの提供する閉域網サービス、MAMによるトンネリングなど、最近は選択肢が多様化している。またメールやスケジューラに関しても、ほとんどの企業がモバイルデバイス利用者全員に提供しているケースがほとんどだ。

 「部門やユーザーによって使うもの」は、主にアプリケーションとなるが、業務支援や顧客管理といった営業ツールから工程管理、設計図の閲覧・編集アプリ、市販のアプリから独自開発アプリまで多岐にわたる。このカテゴリの中で「誰もが使うもの」に限りなく近いソリューションとして挙げられるのが、コンテンツ管理やファイル共有であり、現状では企業が導入にあたって一番頭を悩ませているところである。

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