上述したように、当初は外出先でのメールチェックや日報作成がiPadの主たる活用目的だったが、実業務で使っていく中で、カタログのデジタル化や動画によるプレゼンテーションが営業ツールとして有効だということが分かった。
これまで、例えば、専用サーバによって作る「スーパードライ・エクストラコールド」(氷点下のスーパードライ)の説明や、小瓶専用サーバ「クリーミーフォーマー」を使ったノンアルコールビール「ドライゼロ」の泡製法の説明などは、口頭でも紙資料でも不十分だった。そうかといって、機材を取引先に持ち込んで実演すると、機材を事前準備する必要があったり、場合によってはうまくできないリスクもあったりする。そこで、これらのデモンストレーションを動画コンテンツとしてiPadに用意することにより、顧客に対して効果的なプレゼンテーションが可能になった。
営業部門にiPadを導入してから3年が経とうとしている。成果は出ているのか。1つには、隙間時間の有効利用が挙げられる。例えば、顧客からの問い合わせに対して、オフィスに戻らずとも移動中にレスポンスすることで、スピーディーな顧客対応が可能になった。また、昼休み前後の時間を使って営業日報を入力する社員が増えているという。「12時から15時ごろにかけて日報をはじめ内勤作業の実施率が高まっている」と光延氏は強調する。
一方で、当初掲げていた目的である「直行直帰の促進」については、無理な推進はしなかった。1つに資料作成などどうしてもオフィスのPCで作業しなければならない業務があることや、特に地方の支店の場合、事務所の自動車を使って営業活動することが多いためだ。
そのほか、現場の営業担当者によるiPad活用に効果やメリットを感じたからか、現在では営業の担当役員と本店の部長クラスにもiPadを配布するようになった。
今後の取り組みについて、現在配布しているiPadに対してはMDM(モバイルデバイス管理)ツールを導入するとともに、利用できるアプリを制限しているが、ルールを設けてユーザーの自由度を高めていくことを検討していきたいと考えている。
また、iPadから社内の業務システムにアクセスする際には、リモートデスクトップツールを用いているが、今後、量販店向け営業担当者のモバイル端末がスマートフォンに移行するタイミングなどで、業務システム用のネイティブアプリを開発するかもしれないとした。
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