CA Technologiesが継続的デリバリー支援ツール「CA LISA Release Automation」を出荷。企業のDevOps推進を支援する姿勢をより強くした。
CA Technologiesは6月5日、継続的なデリバリーを自動化する「CA LISA Release Automation」(以下、LISA RA)を発売した。LISA RAは同社が従来から販売している仮想化支援ソリューション「CA LISA Virtualization」やテスト支援ソリューション「CA LISA Test」と連携し、企業のDevOps環境をサポートする。価格は、管理サーバー当たり32.5万円。
通常、ソフトウェア開発は「要求」「開発」「統合」「性能」「受入」「運用」の各フェーズに分けられる。昨今ではさまざまな外部要因から開発の高速化が求められ、このサイクルの短縮化が重要な課題だ。この流れを受けて、企業内でも従来対立することの多かった開発部門と運用部門が協力して柔軟な開発体制を築く「DevOps」の推進が求められている。
CAも従来はメインフレームのバックアップ製品など、運用側のソリューションに強みがあったが、前述のDevOpsの流れを受け、ここ数年は「開発」〜「受入」を支援するツール群を取り入れて独自のDevOps支援ソリューションを展開。DevOpsを推進する企業を支援する製品展開を目指している。
具体的には、2011年6月にアプリケーション開発支援ソリューションを提供するInteractive TKO社を3.3億ドルで買収。その後、同社の製品群を「CA LISA」シリーズとして展開。ラインナップには、UIテストやモバイルテスト、負荷テストなどさまざまなテスト支援機能を提供する「CA LISA Test」、テスト環境を仮想化して支援する「CA LISA Virtualization」、継続的モニタリングを提供する「CA LISA Pathfinder」をすでに提供している。これに加えて今回新たに「LISA RA」をリリースした形だ。
日本CA DevOps担当ディレクター 渡辺隆氏は「開発・統合まで順調に進んでも、その後のテストの段階で“メインフレームのテストを実施するリソース待ち”や“本番相当のトラフィック負荷試験がテスト環境では試せない”といった理由で開発が止まるケースが多々ある。LISAシリーズでは、テスト環境を仮想的に作り出して提供したり、シミュレーションすることで、この“待ち時間”を低減するなど、さまざまな開発支援ソリューションを提供してきた。今回これに加えて、アプリケーションのデリバリーを支援するLISA RAを投入することで、さらにDevOpsを強力に支援できるはずだ」とコメントした。
LISA RAは、継続的デリバリーを実践するためのリリース自動化ツール。配布作業フロー設計や、テスト、実行といったアプリケーションの配布に必要な作業を自動化できる。Visual Studioといった開発ツールや、Jenkinsなどの継続的インテグレーション(CI)ツールとの連携が容易なのも特徴だという。
渡辺氏は、LISA RAの特徴として「マニフェスト駆動型のアプリケーションデリバリー」「直観的なワークフローエンジン」「アクションパックとプラグイン」の3点を挙げた。
マニフェスト駆動型のアプリケーションデリバリーとは、「成果物」や「リリースデータ」「環境モデル」などを分離して管理し、それぞれを「汎用リリースモデル」として繰り返し再利用することで、リリースプロセスの自動化を容易にするもの。直観的なワークフローエンジンは、アプリケーションのリリースプロセスをグラフィカルに定義することで直観的なプロセス作成を可能にしている。さらに、主要なミドルウェアやプラットフォームに対してあらかじめ900種類のアクション(例えば、VMwareに仮想サーバーを構築するのような)が設定してあるので、スクリプト作成の手間や人為的なエラーを大幅に削減可能だとした。
また、アクションパックとプラグインを用意したことで、Amazon EC2やOracle DB、WebSphereといった主要外部サービス/製品に対してスクリプトを書かずに連携が可能。主要オープンソースツールであるJenkinsやgit、chefなどにも対応している。
渡辺氏は「LISA RAは『Jenkinsとどこが違うの? 競合しないの?』と聞かれるが、Jenkinsは継続的インテグレーションのためのツールで、LISA RAはデリバリーのためのツールなのでまったく被らない。Jenkinsとはきちんと連携しているので、例えばJenkinsでビルドしたアプリケーションをLISA RAで自動的にデリバリーもできる。当社は、オープンソースや他社製品を積極的に連携・利用していこう、というスタンスなので、数多くのツールと連携を可能にした。既存環境を大きく変えずに導入できる製品だ」と語り、同社DevOpsツールの方向性を示した。
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