モバイルワークとWi-Fi 米国の今と日本のこれから(前編)シリコンバレーの街角から(1/3 ページ)

無線LANを駆使してモバイルワークで仕事にいそしむ――そんな働き方が日本でも注目されていますが、思わぬ“落とし穴”も存在します。シリコンバレーでモバイルワークをこなす筆者が、米国や日本での現状と未来予想図を解説します。

» 2014年06月19日 08時00分 公開
[河根拓文(AnchorFree),ITmedia]

 自宅でVoIPサービス経由の会議のあと、カフェで打ち合わせ。オフィス内では仕事の合間に自分のスマートフォンでニュースをチェックし、バスの中でも仕事を継続。仕事帰りに寄るジムではタブレットでビデオストリーミングを楽しみながらランニング――日本ではまだそこまで一般的とはいえない働き方かもしれませんが、ここシリコンバレーでは当然の日常生活です。この一日の活動すべてに欠かせないものは何でしょうか?

 もちろん、それは「Wi-Fi」です(正確にはWi-Fiアライアンスが認めた規格を満たすネットワークです)。

 2013年には、世界中で500万カ所近いアクセスポイント(AP)※1が業者によって設置されたともいわれます。しかも米国など多くの国では、かなりの割合のAPが無料で、誰でも自由に利用できるものとなっています。冒頭に挙げたビジネスパーソンの一日のように、「どこでも気軽に、どのデバイスからでも」インターネットを活用するためには、無料で自由に利用できるWi-Fiの普及が重要な役割を担っているのは明らかでしょう。

※1 ABI research https://www.abiresearch.com/press/global-wi-fi-hotspots-will-grow-to-71-million-in-2

 さらに、多くのサービスがクラウドベースで提供されるようになったため、常時インターネットに接続できないと、そもそも仕事にならないというのが現状です。特に世界を股にかけて活躍するビジネスパーソンは、携帯電話の通信ネットワーク(モバイルネットワーク)に頼っていては、、ローミングによる通信コストが莫大になりますし、そもそもつながらないという心配もあります。

 また日本では信じられないかもしれませんが、シリコンバレーのような最先端の街でも、LTEとはうたっていても、モバイルネットワークは不安定で遅いことが多々あります。そのため、米国では携帯電話の通信ネットワークではなく、Wi-Fiを利用することが一般的になっています。この傾向は米国以外の国々でも多く見ることができます。

世界におけるWi-Fiの成長(左)
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