真の目的は企業成長のため ビジネス部門が使いこなせるビッグデータ基盤とは?すべての企業にデータ活用の価値を

当初ビッグデータはCIOやIT部門がテクノロジーの観点から関心を寄せていた。しかし、今やその活用の担い手はビジネス部門となった。いかにして企業の成長に貢献できるか、その武器としての役割がデータに強く求められているのだ。そうした“データドリブン経営”を推進するためのビッグデータ分析基盤が日本でも本格展開されることとなった。

» 2014年06月23日 10時00分 公開
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ビッグデータを活用できるのは一握りの企業だけ?

 ビジネスを飛躍させる武器として企業が持つ顧客情報などのデータ、およびその活用の重要性は以前から語られてきた。昨今は「ビッグデータ」というブームが巻き起こったことでさらに拍車がかかった形だが、一方でデータ活用における課題も浮き彫りになった。

 技術の進展によって、大量のデータを収集、分析することが可能になったほか、その中身も従来の構造化データから、画像や動画、センサデータなどの非構造化データまで多様なものとなっている。しかし、ビッグデータを“本当に”活用しようとした場合、大容量かつハイパフォーマンスなデータベース(DB)システムを用意する必要があり、相当額のシステム投資は避けられない。

インサイトテクノロジーの小幡一郎社長 インサイトテクノロジーの小幡一郎社長

 また、データの複雑化が進むことで、データ処理、分析の前工程となるデータの整備に多大な負荷がかかってしまうのが現状だ。当然、運用する上で高い技術スキルが求められるのは言うまでもない。

 そうした中、DBにまつわるハードウェア/ソフトウェア開発やコンサルティング業務を手掛けるインサイトテクノロジーと、ビッグデータ活用に向けたプラットフォームソリューションを提供する米Actianが業務提携し、上記のような課題を解決するためのビッグデータ分析基盤「Actian Analytics Platform」を国内で販売開始した。

 インサイトテクノロジーの小幡一郎社長は、「日本企業におけるビッグデータ活用を阻む壁を壊すためには、まさにActianの製品が必要だったのです」と、提携の目的を説明する。ビッグデータを活用するにあたり、米Oracleや米IBM、米Teradataなどの大手ベンダーが提供する高価格なソリューションに投資できるのは、ほんの一握りの企業に過ぎない、というのだ。

 その点、Actianのビッグデータ分析基盤は、こうしたコストやパフォーマンスなどの課題を解決できると小幡氏は見ている。では、Actian Analytics Platformとはどのような製品なのだろうか。以下では、Actian 最高経営責任者 兼 プレジデントのスティーブ・シャイン氏が、Actian Analytics Platformが生まれた背景や製品の強みなどを紹介する。

「ビッグデータ2.0」を目指したプラットフォーム

 これはまだビッグデータという言葉が生まれていなかったころの話だ。シャイン氏は従来のデータベースユーザーがデータ処理の規模を拡大し、同時にパフォーマンスを求めるようになったことに気が付いた。そこでActianは、分析用に特化した高速DB「VectorWise」の提供を開始する。「VectorWiseは、DB技術に対する新たなアプローチを採用し、洗練されたハードウェア上で高速にDBが走るよう最適化されたものです。これがわれわれのビッグデータに対する最初のステップでした」とシャイン氏は振り返る。業界にビッグデータブームが巻き起こったのはそれから間もなくのことだった。

米Actian 最高経営責任者 兼 プレジデントのスティーブ・シャイン氏 米Actian 最高経営責任者 兼 プレジデントのスティーブ・シャイン氏

 その後Actianは、3年間で2億ドル以上の投資を行い、ビッグデータ分析基盤の開発に着手した。「ユーザーは単に高速なDBを求めているのではない。エンドツーエンドのソリューションを求めている」(シャイン氏)と見たためだ。こうして同社は、2014年1月に「Actian Analytics Platform」を発表した。「グラフィカルで誰もが簡単に利用できる、ハイパフォーマンスな工業化ソリューションです」とシャイン氏は特徴を語る。

 シャイン氏は、ビッグデータの波には3つのフェーズがあると話す。最初のフェーズは、ビッグデータという言葉が誕生する以前のことで、「非常に高価なハードウェアに従来の技術を駆使したソフトウェアを積み込み、そこで何とかデータ分析していた時代」のことだという。しかしこの手法では、パフォーマンスに課題があるのはもちろん、コストも膨大なものとなる。こうした状況では「ビッグデータプロジェクトを実施するためのインフラに投資できる企業は世界中の1%に過ぎないという調査結果もあるほどです」とシャイン氏は指摘する。

 第2フェーズは、米Yahooや米Google、米Facebookなどの企業が、安価なハードウェアとデータ分散処理基盤「Hadoop」を駆使して大量のデータを扱う新たな手法を生み出した時期で、シャイン氏はこれを「ビッグデータ1.0」と呼ぶ。このフェーズでは「基幹業務システム内のデータのみならず、モバイル端末のデータやSNSのフィード、天気や交通情報などさまざまな情報を扱うようになり、データ分析から得るインサイトの幅が広がりました」という。

 しかしこのフェーズの技術には課題もあった。現在多くのソフトウェアがグラフィカルなインタフェースを採用しているにもかかわらず、この段階のビッグデータソリューションでは複雑なコードを学ぶ必要があった。また、Hadoopはスケールするには最適だったものの、それほどパフォーマンスが出る設計にはなっていなかったのだ。

 そこでActianが次のフェーズである「ビッグデータ2.0」を目指して開発に着手したのがActian Analytics Platformなのだ。「ビッグデータ2.0では、Hadoopベースの技術をより堅牢かつ強固にし、扱いやすいものにしようと考えました。すべての機能をグラフィカルなインタフェースで利用できるようにし、ビジュアル性に富んだツールを目指したのです」とシャイン氏。同時に、パフォーマンスにも注力したという。「100テラバイトのデータを集めて担当者に分析を依頼しても、結果が出るまで3日もかかるようでは企業競争に負けてしまいます。ビッグデータ分析においてパフォーマンスはそれほどまでに重要な要素なのです」とシャイン氏は強調する。

 Actian Analytics Platformの強みについて、シャイン氏は、「ビッグデータプロジェクトを推進するにあたって、パフォーマンスの高いエンドツーエンドソリューションをリーズナブルな価格で利用できるのがこのプラットフォームの特徴。大手ベンダーの提供する高価なソリューションには投資できない企業も多く、数多くのスタートアップ企業が提供するポイントソリューションでは一部の問題しか解決できないケースも多いです。データの準備という前工程からHadoop上でのハイパフォーマンス分析まで、一気通貫のソリューションを提供できるのはこのプラットフォームだけです」と力を込める。

Actian Analytics Platformとは

Actian Analytics Platformは、「Actian DataFlow」、「Actian Matrix」、「Actian Vector」の3つの製品で構成されている。


Actian DataFlowは、企業内のデータを統合するETL機能を持ち、Hadoop上でのデータ加工や分析機能の開発、実行を行うためのソリューションだ。コーディングすることなくネイティブにHadoop上のデータを処理できるのが特徴で、MapReduceを利用した場合と比較すると10倍以上の速度でデータ加工や分析ができるという。


Actian Matrixは、スケールアウト型のアーキテクチャを採用したRDBで、数テラバイトからペタバイトクラスの大量データを分析することが可能だ。パラレル処理、カラム指向、データ圧縮、コンパイルクエリなどの技術を駆使し、高度な分析を実現することが可能。ソーシャルデータやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)など、さまざまなデータを組み合わせて新たなビジネスを展開したいと考えるユーザーに最適だという。


Actian Vectorは、主にBI(ビジネスインテリジェンス)ユーザーをターゲットとしたシングルサーバ用のRDB。数億件のデータを数秒でドリルダウンできるほか、標準的なSQLが実行可能で、さまざまなフロントエンドアプリケーションと接続可能だ。既に国内での導入事例もあり、日本調剤では各ベンダーのソリューションを検討した結果、コストパフォーマンスに優れているActian Vectorを採用するに至ったという。

米Yahooなどビッグユーザーの先進事例も

 Actian Analytics Platformを利用する企業は、既に世界で250社を超えるという。シャイン氏はその一例としてYahooや米Evernoteを挙げる。

 Yahooでは、広告収益を上げるための施策としてActian Analytics Platformを採用した。ユーザーに関連性の高い広告を最適なタイミングで表示させるためだ。「例えば、航空券を購入しようとYahooのページ内を閲覧しているユーザーに対し、航空会社の広告を表示させるタイミングは購入前でなくてはなりません。そこでYahooでは、Actian Analytics Platformを駆使し、何が最適な広告か、それを表示する最適なタイミングはいつなのか、山のように膨大なデータを処理して常にモデリングしているのです。パフォーマンスの高いシステムでなくてはとてもビジネスユースでは耐え切れません」とシャイン氏は説明する。

 一方、Evernoteでは、無料版アプリを利用するユーザーに有料版へのアップグレードを促す施策の一環としてActian Analytics Platformを活用している。数多くの無料ユーザーを抱えるEvernoteは、すべてのユーザーの動きを把握し、どのような利用方法をしたときに有料サービスに移行するかを分析しているのだ。

 「特定のユーザーが特定の使い方をしたその瞬間にこそ、有料版にアップグレードする可能性が高いと判断し、最適なタイミングでプロモーションをかけています。後で有料版アップグレードの優待メールを送っても、既にユーザーは興味を失っているかもしれないからです。大量のユーザー行動を日々分析することで、予測の精度も上がっていきます。非常に競争力の高い分析の手法といえるでしょう」とシャイン氏は述べる。

Actian Analytics Platformの概要図 Actian Analytics Platformの概要図

最終的なビッグデータ活用はビジネス部門

 シャイン氏は、Actian Analytics Platformが「目的地にたどり着くための車のようなもの」と話す。「プラットフォームにはさまざまな個別の機能が組み込まれていますが、例えば、車を購入する顧客はエンジンやシートなどのパーツを求めているわけではありません。A地点からB地点にたどり着くために車を購入しているのです。それがプラットフォームの役目であり、顧客はデータを分析してビジネスに活用するという目的にたどり着くために、高速で使いやすいActian Analytics Platformという車を選んでいるのです」と包括的なソリューションを提供する意義を述べる。

 このプラットフォームは、最終的には情報システム部門に向けたものではない。ビッグデータを分析し、その結果を活用するのは現場のビジネス部門であるからだ。シャイン氏も、「1年前まではCIO(最高情報責任者)など技術系部門のエグゼクティブがビッグデータに興味を持っていた。しかし今では、ビジネス部門のユーザーがビッグデータで何ができるのか理解しており、活用しようとしています」と話す。

 Yahooの事例でもあったように、特定のユーザーに対してどのような広告を最適なタイミングで表示させるべきかを考えるのはマーケティング部門の役目だ。より個人に最適化したマーケティングが実行できるのは、ビッグデータを活用しているからこそ。ほかにも、メーカーの製造部門がモノ作りの精度を高めるためにビッグデータを活用したり、オンラインゲームを提供する企業が、ユーザーの動きを分析してゲームのデザインを変更したり、ゲーム上での広告表示のタイミングを見極めたりといったことにビッグデータを活用しているという。

 Actian Analytics Platformは「GUIの操作でデータ分析が可能なため、コードが書けないビジネスユーザーでも利用できる」とシャイン氏。また、技術的な知識がなくてトライ&エラーを繰り返しても、処理が高速なため、何度でも試しながらスキルを向上させることが可能だという。

 「エンジニアやITエキスパートでなくてもビッグデータが扱える。Actianは、ビッグデータをビジネス現場で使ってもらうためのプラットフォームを提供しているのだ」(シャイン氏)

アプライアンス製品で日本企業のビッグデータ活用を支援

 Actian Analytics Platformの日本における総販売代理店となったインサイトテクノロジーでは、サポート部門を独立した事業部として新たに立ち上げている。小幡氏によると、人材の拡充を予定するほか、販売パートナーも募集しているという。「ビッグデータを活用するにあたって、既存のテクノロジやハードウェアでは課題が多いと感じている企業は多い。そういう企業に価値ある提案ができるはずです」と小幡氏は意気込む。

 インサイトテクノロジーでは、コモデティハードウェアを活用したDB向けサーバ「Insight Qube」を提供しており、このハードウェアに関するノウハウ、そしてActian Analytics Platformを組み合わせたアプライアンスを開発し、Actian製品向けのサーバ製品を「revoniac」というブランド名で同時に販売していく考えだ。

 「われわれはDBとハードウェアを熟知しています。Actian Analytics Platformに最も適したアプライアンスであるrevoniacは、日本国内のお客さま、パートナー企業がActian製品を導入する際の、パフォーマンスやサイジングといった障壁を打ち破ってくれるはずです」と小幡氏は自信を見せる。

 シャイン氏も、「DBとその根本的な技術を理解し、データから何が発見できるのかといったコンサルテーション面も含め、顧客に対してビッグデータを総合的に教育できるインサイトテクノロジーは、Actianにとって最適なパートナーです」と、業務提携に対する期待を寄せた。

 両社のタッグチームが従来の課題を解消に導き、日本企業のビッグデータ活用をますます加速させることになりそうだ。

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提供:株式会社インサイトテクノロジー
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2014年7月22日

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